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サトー先生の「きょういく日めくり」~きょうも楽しく学校へ行くために~【第27回】

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論説・コラム

「最高打率」より「最多安打」

 今はもう引退したけど、ぼくの好きな野球選手に、田中幸雄(たなか・ゆきお)という内野手がいる。平均打率は2割6分ほど、一度も3割を打ったことはない。よくある「タナカ」姓で、あんまり特徴もない選手。

 ……なあんてこと言うと、日本ハムファンに怒られてしまう。だって、日ハムひと筋22年の「ユキオ」は、引退直前に2000本安打達成の大打者、人呼んで「ミスターファイターズ」だ。

 いっぽう、大阪には「すべり芸」と呼ばれる芸風がある。ここぞとばかりに放ったギャグがまったく受けず、場に微妙な空気が流れる。スベる。しかし、そんな空気や、何よりも「また受けないんじゃないか」と恐れるわが心にムチを打ち、ギャグを連発。あきれられながら、3度目にはきっちり笑いとなる。

「準備万端で臨んだクラス開きが完全にスベった。生徒たちが気の毒そうにこっちを見るの。次にクラスでゲームやる勇気なんて私もうない……」
 失敗経験の少ない若手にとっては大ショック。そこで、失敗歴満載のボクは、先の「ミスターファイターズ」や「すべり芸名人」たちの話をする。

 1度や2度の「スベリ」なんてなんのその。10回やって1回成功したら儲けもの。そのペースで20年続けてみようよ。あなたも成功体験20回の、立派な名球会会員になれるぞ―。
 少なくとも言えること。
 一度も成功しなかったとしても、「なんとか楽しいクラスをつくろうと励む担任」の姿を、生徒たちしっかり見てくれている。
 
 
佐藤功(さとう・いさお。大阪大学人間科学研究科元教授)
大阪府立高校教員として33年。酒と温泉と生徒ワイワイ……「生涯現場の一担任」のはずが、生徒や保護者とのわちゃわちゃ大好きを見込まれ、気がついたら大阪大学教職担当初代教授(人間科学研究科所属)。教職志望の学生たちと地域活動やら探究活動やら、日本全国を駆けまわり、現職は「一般社団法人NEOのむら」理事。最近、「旅行業務主任」の資格も取ったらしい。著書に『教室の裏ワザ100連発』『気がついたらボランティア』(学事出版)『はじめてつくる「探究」の授業(編著)』(大阪大学出版会)など。「おまかせHR研究会」主宰。

サトー先生の「きょういく日めくり」