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サトー先生の「きょういく日めくり」~きょうも楽しく学校へ行くために~【第16回】

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論説・コラム

電光石火のパクリ人

「今度、高校生相手に、ぜひその話しを聞かせてやっていただけませんか」
 “電光石火のパクリ人”との異名を持つF先生は、魅力的な人に出会うとどんどん声をかけ、すぐ教室に来てもらうことの名人。弁護士さんや裁判官、検察官など、得意の法曹関係の方ばかりか、タレントさんから劇団の大物俳優さんに至るまで、ジャンルも幅広い。そのうえ、
「すみません。公立学校なので、謝金を出す余裕はないんですが」。
 なんともアツカマシイお願いをされるからタチが悪い。でも、交通費程度で(場合によっては交通費さえ取らずに)学校に来てくださる方が、世の中には案外たくさんおられるとか。
「先生っていいお仕事ですよね。子どもたち相手にしゃべれるなら、いつでも行きますよ。謝礼?そんなものいるわけないじゃないですか」
 「次代を担う子どもたちに語りたい」オトナは、世の中にはボクらが思う以上にいっぱいいて、うらやましがられる。そんな人を見極め、電光石火の勢いでその方そのものを「パクって」くるのがF先生だ。

 そもそも、「パクる」という言い方には悪いイメージがあるが、「電光石火」の彼にはどこ吹く風。外部連携だけでなく、教材や授業方法まで、「パクれるものは何でもパクる」とばかり、ネタ探しに日々精進(?)されている。
「パクるとは、相手を尊敬して使わせていただくことだ」
「すべてそのまままねるのではなく、自分流にアレンジするのがパクリの極意」
 う~ん、なるほど。今回の文章、数々のF先生語録からいっぱいパクらせていただきました。もちろん、最大限の敬意をこめて。
(※参考)札埜和男「外部連携って苦手なんですけど?」(『現場発! 高校「総合探究」ワークを始めよう』2021 学事出版刊 p.130)
 
 
佐藤功(さとう・いさお。大阪大学人間科学研究科元教授)
大阪府立高校教員として33年。酒と温泉と生徒ワイワイ……「生涯現場の一担任」のはずが、生徒や保護者とのわちゃわちゃ大好きを見込まれ、気がついたら大阪大学教職担当初代教授(人間科学研究科所属)。教職志望の学生たちと地域活動やら探究活動やら、日本全国を駆けまわり、現職は「一般社団法人NEOのむら」理事。最近、「旅行業務主任」の資格も取ったらしい。著書に『教室の裏ワザ100連発』『気がついたらボランティア』(学事出版)『はじめてつくる「探究」の授業(編著)』(大阪大学出版会)など。「おまかせHR研究会」主宰。

サトー先生の「きょういく日めくり」