ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第22回】
NEWS【どうせありきたりのやつなんだろうな】
―「どうせありきたりのやつなんだろうなー」と、あまり期待してなかったけど、予想以上にすごい話で驚いた。というかなんというか、講師の方の今までの人生が過酷すぎて、自分で想像してまじで泣くかと思った。(ほとんど泣いてた)もし自分だったら絶対耐えきれないのでほんとにすごいなって思った。物事のとらえ方次第でいろいろと変わるんだなってことを知ることができた。(高校1年生)
講演会後に届いたこんな声。これまでの講演会でも、同じような声をもらっている。
ここで言う「ありきたりのやつ」というのは、どんなものなのだろうか?
「自分を大切にしよう」「人を大切にしよう」「自分を好きになろう」「自分を変えよう」
そんなよく聞く言葉だろうか?
それとも大人の成功体験自慢だろうか?それとも大人の正義の押し付けだろうか?
講演で伝えていることは、正直「ありきたりのやつ」だと思っている。だけど、私の講演はどうやらそうは捉えられていないらしい。
他に、こんな声もある。
―正直、いつも講演ではうとうとしてしまうのですが、この講演はすごく聞き入ってしまいました。またこのような活動を続けていってほしいと思います!
―誰かが学校に来て話をしてくださる時に「あ…これはちょっと眠れないな…」と思ったのは初めてでした。内容も深く、重くて、寝れないありがたい講演でした。
―今回は、講演をしに来ていただきありがとうございます。正直、特別講師を招いての講演会は眠くなってしまうので苦手なのですが、三橋さんの話はとても惹かれたので眠くなることもなく、むしろ話に引き込まれて目が覚めました。
今回この講演を聞いて自分の人生観が大きく変わった気がします。自分がやりたいことは我慢しないでやればいいという言葉はとても印象的で心を動かされました。また、自分の短所は長所にもなるという言葉も心に残りました。自分の短所を長所として市場価値を生み出せば仕事の幅も広がっていくと思います。そういう考えが生まれたのは三橋さんのおかげです。ありがとうございました。
―忙しい中、来てくれてありがとうございました。自分のしたいことを1番にしようと改めて考える良いきっかけとなりました。僕が眠くならならないで聞けたのは、話が上手かったからだと思います。また来てください。
話を聴いてもらいたい、そう思ったら相手の立場に立ってみる。
どんな話なら聴きたいと思えるか。どんな話なら素直に受け取れるか。どんな話なら伝わるのか。
自分を大切に。人を大切に。きっとそんなことはわかっている。正論を正面からぶつけても、受け取りにくい。それは大人だって同じはずだ。
そもそも何に悩んでいて、何に苦しんでいるのか、彼ら当事者でも言語化が難しい。でも、なんか苦しい。なんかしんどい。なんか自分を出せない。
こんなことで悩んでいるのは自分だけなんじゃないかと、心が孤独になる。
そんな彼らの心を代弁するため、私は自分の幼少期からの話をする。当時の自分がどんなことに苦しんで、そこから今はどんなことを得たのか。体験談というのはその人の生き方に触れることになる。表面的な「自分を大切に」という言葉で表現するのではなく、いかに聴いている側が自ら「自分を大切にしてみよう」と思えるかどうか。
彼らと同じ目線で、生きた学びをシェアすることが、私にできること。そして、それが彼らの勇気になることを願って、この活動を続けている。
中高生の心を開く専門家/ライフコーチ三橋亜希子
各地の小・中学校、高校、幼稚園などで児童・生徒向け、教職員向けの講演を続ける。幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。