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令和6年通常国会質疑から【第12回】

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行財政

 国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。昨年6月23日に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。6月4日の参議院文教科学委員会では、教員不足問題に関連し、就職氷河期世代に重点を置いた教員採用について質疑があった。

教員不足問題と就職氷河期世代

 伊藤孝恵議員(国民民主) 五月二十九日、東京都教育委員会が発表した令和六年度公立学校教員採用候補者選考、七年度採用の応募倍率に驚愕をこれもいたしました。特別支援学校で一・一倍、昨年は一・六倍でした。小学校で一・七倍、昨年は一・八倍でした。いわゆる三倍を切ると危険水準というふうに言われている中で、大学三年前倒し選考もキャリア採用もカムバック採用もやってこの数字です。
 大臣、この教員採用の課題に対する認識、お伺いします。

 文科相 我々文部科学省の最新の調査結果では、令和五年度採用の選考において、全学校種の総計での採用倍率が三・四倍、小学校の採用倍率が二・三倍となっております。また、採用された教員のうち、民間企業等の勤務経験者は四%となっております。
 採用倍率の低下は大量退職、大量採用の影響によるものが大きいと認識しておりますが、優れた教師人材を確保するという観点から、こうした状況にあることは大変重要な課題であると認識しております。
 我々といたしましては、毎年度の新卒受験者を十分に確保することと併せて、多様な専門性を有する教職員集団を構築する観点から、社会人も含めた幅広い人材を確保していくことが重要であると考えており、引き続き、各教育委員会に対して教員採用選考の実施方法について様々な工夫改善を要請するとともに、各教育委員会における取組をしっかりと支援してまいりたいと考えております。
 そして、来年の春の採用に関しましては現在進行中ということでもございますので、しっかりその状況を踏まえて次の対応につなげていきたいと考えています。

 伊藤孝恵議員 先生たちの働き方改革、これがマストでございますけれども、そもそもなぜ教員不足が起きているかといえば、大臣も付言していただきましたけれども、一九七〇年代前半に生まれた、まあ私もそうでございますけど、第二次ベビーブーム、団塊ジュニア、プレ団塊ジュニアの世代の就学対応で採用されたベテランの先生たちが次々と定年を迎えられて、大量に退職していることも影響であります。一方で、その第二次ベビーブーマー世代、我々は就職氷河期世代でございまして、平成の大合併も相まって、公務員、教員志望だった団塊ジュニアたちはその夢をかなえられず、時代と政策によって機会を損失した、そんな世代でございます。
 文科省も、就職氷河期世代は教員採用試験倍率が過去最高を記録し、免許状を取得したものの、採用されなかった者がおよそ百万人いると推計をして、教員免許の更新廃止を機に、教員を再び目指してもらうためのリカレント教育プログラム事業を行っております。ただ、これ、令和二年、そして令和二年―四年限りで終了です。理由を教えてください。

 総合教育政策局長 就職氷河期世代、これは厚生労働省によると明確な定義はございませんが、一般的には、平成五年度卒業、大体今五十四歳から五十五歳、下は二〇〇五年度、平成十七年、つまり三十九歳ぐらい、つまり四十歳代の方が就職氷河期に多く当たってございまして、公立学校の教員の年齢別割合でいきますと、五十代が三〇・五%に対して四十代が二三・二%と、確かに採用倍率が、このいわゆる就職氷河期世代の方々は採用倍率が高く、また採用者数が少なかったということでございます。
 これに対して、就職氷河期世代を対象とした政府全体の検討の中で、そうした方を特に対象とした形での事業というものを起こしてございましたけれども、今般、その就職氷河期世代ということに限らず、やはり教員不足というものに関して政策を取っていく必要がございますため、就職氷河期世代ということだけではなく、各都道府県に対して教員のなり手不足を、厚くするための取組をもう様々な形でお願いし、また横展開をしているところでございます。
 国としても、そうした特別免許状を活用した選考、あるいは一般試験の免除、あるいは加点、その他の特別選考を含めまして教師人材を発掘する取組を強化するための支援事業というものを起こして、各都道府県において引き続きこうした政策を通じた優れた教育人材の確保に努めていきたいと考えています。
 やめた原因という、直接今申し上げませんでしたけれども、政府全体での就職氷河期世代の事業の一環として行っていた事業、令和二年から四年ございましたけれども、この事業を発展的に解消いたしまして、就職氷河期世代ということでなくて、教員不足対応ということ全体としての政策にしたということでございます。

令和6年通常国会質疑から