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令和6年通常国会質疑から【第10回】

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 国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。昨年6月23日に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。4月18日の参議院文教科学委員会では、GIGAスクール構想によって整備したコンピュータを使った小学生による盗撮に関する質疑があった。

1人1台端末による盗撮

 伊藤孝恵議員(国民民主) 昨年十二月、東京都武蔵野市の市立小学校で高学年男子児童が女子児童の着替えを盗撮していたことが発覚をいたしました。このときに使われた端末がまさにこのGIGAスクール構想による学習用タブレットだったことに加え、その盗撮画像が男子児童間でアプリによって共有されていたことなどから、この情報モラル教育の意味、意義が改めて問われる事態となっています。こういった一人一台端末によるトラブル、この武蔵野市の事例、氷山の一角だというふうに思います。
 これ、文科省が把握しているこの一人一台端末におけるトラブル、こういったものがどのぐらいあるのか、そしてどのように情報収集しているのか、教えてください。

 文科相 今御指摘の武蔵野市の公立小学校の事案につきましては、報道等を通じて承知をしております。
 一人一台端末の不適切な活用に起因するものも含め、学校におけるトラブルの把握や対応についてでございますが、まずは教育委員会、学校において行うものでございまして、残念ながら、我々文部科学省がそういった全ての事案を網羅的に把握するという立場でないということを御理解を賜りたいと思います。
 そして、その上ででございますけれども、その情報モラル教育の充実、そして、都道府県教育委員会等に対しましては、一人一台端末等のICT環境の活用に関する方針について通知をする、そういったこともやっております。また、フィルタリングにつきましても、このICTの端末の更新、こういったことと併せてその都道府県教育委員会等にお伝えをしているところではあります。
 そしてまた、その具体的な御指摘の事案につきましては、こういったものにつきましては、昨年の二月の通知におきまして、犯罪行為に相当する事案では、直ちに警察に相談、通報を行い、適切に援助を求めなければならないこと、警察との連絡窓口の指定等、警察との日常的な情報共有体制の構築を図ることなども示しまして、警察との連携強化の徹底を求めております。
 引き続き、各学校において一人一台端末が適切に活用されるよう、我々としても必要な対応を進めてまいりたいと考えています。

 伊藤孝恵議員 大臣、確認です。大臣の今の御答弁は、武蔵野市で盗撮をした子供は警察に突き出せばいいと、そういう御答弁ですか。

 文科相 必ずしもそういうことを申し上げているわけではありませんが、犯罪事案についてはそういうようなことも必要であるということを連絡したということであります。

 伊藤孝恵議員 そう、私たち大人は、それが犯罪である、そういうふうに端末を使ってはいけないと子供たちに伝えなければいけません。そういった私たちの責務をさておいて子供たちを警察に突き出せとは私は思いませんし、そして、大臣、教育委員会が集約するものなので文科省はいかんとも、そうじゃないと思いますよ。着目していないんだと思います。危機感が共有できていないんだというふうに思います。
 こういったデジタルツールを活用した子供たちのいじめ等、ネットいじめって皆さん一口におっしゃるけれども、これ詳細って分析されているんですか、文科省。

 初等中等教育局長 いわゆるネットいじめが増加した背景については様々な要因があるというふうに考えておりますが、例えば、スマートフォン等の普及に伴い子供たちがネット環境に触れる機会が多くなったこと、SNS等のネット上のいじめについては学校による積極的な認知が進んだ等が考えられるところでございます。

 伊藤孝恵議員 いや、デジタル時代のいじめというのは悪い意味で進化をしています。SNS等で悪口を書いたりアウティングをしたりする、そういった書き込み型のみならず、悪意あるメッセージを送ったり、自分が見られたくない画像とか動画とかを、そういうものを拡散されてしまったり。それから、グループのLINEとかですね、ストーリーズ、LINEの一言欄にわざと、この前みんなで行ったディズニーランド楽しかったねなんて、私は行っていないのにですよ、そういうような仲間外れを突き付けて追い詰めたり。それから、昨今、ビーリアルっていう、そういうアプリがあるんですけれども、通知が来て二分以内に周りの様子を撮影して送るというような、そういうアプリなんですけど、それをやらないと、それを強要されたり、いろんないろんないろんないじめがあります。
 それが、先ほどの引きこもりだったり、いじめだったり、命を絶ったり、本当に子供たちを守るためのもののはずが子供たちを追い詰めている、そういうことを先ほどから申し上げています。だからこそ、ネットいじめについてはもっと文科省は詳細を分析するその必要があるし、これらに対して大臣自身が興味を持って、危機感を持って対応すべきだと申し上げています。もう一度御答弁お願いします。大臣です。

 文科相 我々としましても、ここまでいじめ、不登校が深刻化しているその背景にありますのは、そのリアルな世界でのいじめという、我々が子供の頃はそれしかなかったわけですから、そういうものからSNS、そういったものを通して、特にその不特定のいじめというんですかね、要は誰がどういうふうにしているということが分からないような形でのいじめも含めて、いじめというか、SNSへの投稿も含めて、そういったものが多く使われるようになっているからこそ、このように、いじめ、不登校、こういったものが深刻になっているということは我々認識しております。
 そのような中で、このスマホに限らず、タブレットに限らず、文明の利器をどう使っていくのか、うまく使えば大変有効な道具になりますが、他方、これを悪意を持って使えば大変危険な、そういうような道具にもなり得るということは我々承知をしております。
 そのような中で、簡単なところでいくとフィルタリングその他から始まるわけでございますけれども、どういうふうにしていくのか、そういったことは我々も考えますが、なかなかその一つ一つの現場まで網羅的に私たちが把握をするということは困難であるということは御理解をしていただきたいですし、その上で、そういった状況に対して、私たち文部科学省だけではなく、各教育委員会であり、そして現場の学校、先生方とも協力をしながら、どのような対応をすべきか、そういったことについては今後とも取り組んでまいります。

令和6年通常国会質疑から