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令和6年通常国会質疑から【第9回】

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行財政

 国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年6月23日に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。4月18日の参議院文教科学委員会では、入試のオンライン化に伴う出願ミスの予防に関する質疑があった。

オンライン出願とミス予防

 金子道仁議員(維新) 毎年、学校というか教員の出願ミスにより入試にチャレンジできない受験生がいる。何の非もない受験生が受験の機会を奪われるというのは非常に理不尽であって、こうしたペナルティーというか問題を受験生が負うというのは是非避けるべきだと思います。
 出願ミスの話は、高校受験だけではなくて大学受験でも度々発生していますけれども、今日は問題を限定して、中学校における出願ミスに対して何らかの救済措置というものはとられるんでしょうか。大臣にお伺いします。

 文科相 希望する高校の受験をできるかできないかというのは、そのそれぞれの生徒さんにつきましてはその後の御自身の進路に関わる大変重要な問題であると、そんなふうに思っておりますので、手続ミスということなどで生徒が受験できないという事態は厳に避けるべきものであると考えております。
 ただ、高等学校入学者選抜の方法等は実施者でございます都道府県教育委員会等の判断で決定するものでございますので、文部科学省としては、様々な事態が発生し得ることを想定して入学者選抜の手続について万全を期すよう、全国の高等入試担当者が集まる会議等の場において周知、情報発信をしていきたいと考えております。
 ということで、できる限り、その実施者であります都道府県の教育委員会で、こういうミスがないように、そして万々が一の場合には学校関係者との間で適切に御対応をいただきたいと、そんなふうに考えております。

 金子道仁議員 それを都道府県に任せるのではなくて、何らか国として指針を出す必要があるのではないか、そのことを是非お願いしたいと思います。
 これは、頑張れ、ミスをなくせと言われても、誰に負担が行くかというと、またここも中学校の、学校の先生の業務になるわけです。特に、事務作業と分類される作業に対しては非常に負担感が多いというアンケートも拝見しています。
 実際に、高校進学率は九九%、調査書を作る、成績書を作る、これみんな紙媒体で作って、それを紙で提出しに行かなければいけない。そこで筆記のミスが起こることもありますし、さらに、入試スケジュールが、メニューが非常に今は複雑化しています。いつ出願書類を出したらいいかという、そのスケジュール管理すらも難しい。それを全部中学校の教員の責任で、そして、ミスが起こったらその先生そして学校の責任になるというのは、非常に先生方にとっても負担の大きいことなのではないかと思うんです。
 是非、そういったことを負担軽減を図り、そしてこういう出願ミスという悲しい状況を解消するために、DX化、出願を含めた入試プロセスのDX化を進めていただきたいと思うんですが、高校受験におけるDX化の現状について、デジ庁の方からお伺いします。

 デジタル庁審議官 デジタル庁では、多忙な教職員が負担に感じる業務の改善を目指しまして、昨年度、高校入試の事務手続作業の実態調査を行ったところでございます。中学校や高校において、調査書等のデータ入力、印刷、目視確認、そして中学校から各高校への持参、郵送など、教職員が多忙な中で実施している現状が明らかとなってございます。
 出願に必要な書類のデータ連携が効率的かつセキュリティーの担保された形で実現できれば、教職員や生徒、保護者の負担を大幅に減らすことができると考えてございます。また、出願ミスの削減についても、例えばデジタル化により担任教員だけでなく学校管理者、生徒、保護者も出願手続の進捗を共有することができるようになれば、ミスの減少につながり得ると考えてございます。
 引き続き、文部科学省と連携しながら、教育委員会等の関係者の御理解を得ながら、データ連携の実証に向けた仕様検討をしっかりやっていきたいと思っております。

 金子道仁議員 私も、高校の教員をやっていたときには、ミスが起こらないように自分のカレンダーに全部入試のスケジュールを入れて、アラームを掛けて、それでやるわけですね。でも、これって、私がやるんじゃなくて全国でやってもらえば先生方の負担はぐっと減るのになといつも思っていました。是非デジタル化を進めていただきたいと思います。
 で、これ、ある意味でビジネス化もされていると理解しています。こういったミスを減らして教職員の負担を減らすために、私立学校、私立中学校や私立高校であれば、その出願のデジタル化で管理をする、そういったビジネスを学校に売り込んで、お金のある学校はそれを先に取り込んでいく、そして徐々に広がっていくと、文科省なり国がこのデジタル化を進めようとするときにそのビジネスとのバッティングも起こってしまう危険性もあると思うんですね。ほかのビジネスを排除しながら全国的なシステムをつくることになってしまうと非常に問題があると思います。
 早急に高校受験、大学受験双方での入試手続のDX化を進めていただきたいと思いますが、大臣、最後に見解をお伺いします。

 文科相 先ほどデジタル庁からも御答弁いただきましたんですけれども、我々文部科学省としても、デジタル技術の活用など、受験生の利便性向上あるいは高等学校等の負担軽減に資する取組について、実情を踏まえた上で更に推進していただくよう、都道府県の教育委員会等に通知をしております。実施に当たっては受験生に不利益が生じないことが前提となりますので、そういったところを十分に留意をしていただいた上で取組を進めていただくべきであると考えております。
 また、デジタル庁と連携をして、先生御指摘のように、高等学校入学者選抜のデジタル化の促進についても検討していきたいと考えます。

令和6年通常国会質疑から