令和6年通常国会質疑から【第7回】
NEWS国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年6月23日に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。3月13日の衆議院文部科学委員会では、在日外国人のうち、滞在資格によっては日本学生支援機構の奨学金が利用できない問題について質疑があった。
外国籍学生への奨学金貸与
浮島智子議員(公明) 家族滞在の資格で日本に滞在する子供たちの奨学金の申請の資格についてお伺いをさせていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の拡大などで一時は減少した在留外国人でございますけれども、感染の収束に伴い再び増加しており、昨年六月現在、三百十一万人の在留外国人が日本において大事なパートナーとして活動しております。
その中で、家族滞在の資格で日本に滞在する方の中には、日本で経済活動に取り組む保護者とともに来日した子供たちが多数含まれており、この子供たちは、地域の学校に通い、そして希望を持って学び、自分の進路を真剣に考えておられます。しかし、いざ関心や適性に応じて進路を選択しようとすると、大きな壁に直面してしまいます。
現在の奨学金制度では、日本国籍の学生のほか、永住者、定住者などの方々は日本学生支援機構、JASSOの奨学金を利用することができますけれども、家族滞在の在留資格で日本に在留する外国籍の学生等は対象外となっております。
昨年、二〇二三年六月の二十六日、バングラデシュからいらしたハリマさんという女性の方にお会いしました。私が本部長を務めている教育改革推進本部にて要望をいただきました。
この方は、生まれて一歳で日本に来日、保育園は日本に滞在して、小学校まではいました。そして、小中学校はバングラデシュの学校に通い、でも、高校に行っているときも、御両親が日本で働いているために、毎年春には二か月こちらに帰ってきていたそうです。そして、再度、高校生の頃から来日し、現在、武蔵野大学の一年生であるということでございました。将来は日本で働きたい、でも、家族滞在だったため奨学金を受けられず、アルバイトをしながら学費を稼いでいるとの話でございました。でも、みんなから、大変だからやめた方がいいのではないかという声もたくさんあったそうですけれども、絶対に諦めたくないということで、必死で頑張っているという声でした。このハリマさんは、日本語はもちろんのこと、ベンガル語、英語、ヒンディー語、四か国語を話せる、とても優秀な学生さんであります。
なぜ家族滞在が対象外となっているかというと、例えば貸与奨学金であれば、卒業後の返還が必ずしも見通せないためと聞いております。
幼い頃、家族と一緒に日本に来日をして、日本の学校を卒業し、大学を卒業した後も日本で就職し、日本の社会の一員として活躍したいと思っている学生さんたちはたくさんいらっしゃいます。
公明党は、昨年の七月十二日、子どもの夢応援ネットワークの金光敏さん、世話人とともに、当時の永岡大臣の下に伺い、家族滞在の在留資格を持つ外国人学生も受給の申請の対象に加えるよう要望をさせていただきました。当時の永岡大臣からは、検討を進めたいという前向きな御答弁をいただいたところでもございました。
そこで、盛山大臣にお伺いをいたしますけれども、この家族滞在の在留資格を持つ外国人の子供たちも、日本学生支援機構、JASSOの奨学金の受給資格対象に加えていただきたいと思いますけれども、大臣の御決断をお伺いしたいと思います。
文科相 今、浮島先生から御指摘あったとおり、現在、日本学生支援機構の奨学金の対象は、日本国籍の方に加えて、永住者や日本人の配偶者等などとしているところです。
この対象者につきまして、御党からいただいた御提言も踏まえて拡大を検討いたしました。令和六年の四月から、日本の小学校から高校までを卒業し、大学等の卒業後も日本で就労して定着する意思があるなど、一定の要件を満たす家族滞在の学生等を加えることといたしております。令和六年度からは、これらの要件を満たす学生等は、日本国籍の学生等と同じように、各大学や高校等において実施される奨学金の採用に申し込むことで支援を受けられますので、各大学の窓口や高校の先生などに御相談をいただければと思います。
文部科学省としても、制度の対象となる在留資格等について周知に取り組むこととしており、引き続き、経済的に困難を抱える学生等の支援に努めてまいります。
浮島智子議員 我が党の提言を踏まえてということで、この令和六年四月から一定の要件を満たすこととしてくださったことは大きな第一歩でありますので、本当にありがとうございます。しっかりとこれを周知徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。