日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第20回】

NEWS

論説・コラム

どうせ死ぬのに、なんで生きているんだろう

 8月21日(水)に、大阪市の児童自立支援施設併設校である、大阪市立弘済小中分校へ伺い、講演会と自己理解ワークショップを行った。

 前半の講演テーマは、「自分の人生を生きる」。後半の自己理解ワークショップテーマは「幸せな人生を生きるためのグループワーク」。

 講演では、筆者の生い立ちから今に至るまでの経験をシェア。父親のアルコール依存症から、両親の離婚、祖父母に育てられた経験。自分が生まれてきたから父を変えてしまったと、ずっと自分の存在を否定して生きてきたこと。人の役に立たない自分は生きている価値がないと、自己犠牲をしてきたこと。そして、外へ出れば人に嫌われないことを基準に生きていたこと。そして、そこから何を学び今に至るのかを伝えてきた。

 この日は、小学生はおらず全員中学生。後日いただいた生徒の声を紹介したい。

 ―私も最初どうせ死ぬんやから、なんで生きてるんやろと思っていました。けど話を聞いて、私も自分で生きている意味などたくさんわかりました。三橋さんに出会えて良かったです。

 ―マイナス発言ばかりして怒られることが多かったけど、この話を聞いて、人間これから頑張っていったら未来が変わるから、これからは前を向いていきたいです。

 ―自分の弱さが強さに変わるということを聞いて、「あっ、自分でも変わることができるんだ」と元気をもらいました。

 ―「できない」ではなく、「やっていない」だけ。「変われない」ではなく「変わろうとしていない」だけという言葉にビビッときました。

 ―「自分の人生を生きていますか?」って聞かれた時は「はい、もちろん」って思ったけど、よくよく考えてみると、「相手にどう思われているか」とか色々考えてて「相手に自分の人生を左右されているんだな」って思いました。だからいつの間にか自分の本音がわからなくなっていくんだろうなと思いました。

 誰もが自分の人生しか生きることはできない。そんなことはきっとわかっているはず。でも、誰かを主語にして、誰かに委ねて、誰かのせいにして、生きていることはないだろうか。
 自分を幸せにできるのは自分だけ。なぜなら自分が望むことは、自分にしかわからないから。

 では、あなたは?
 大人のあなたは、自分の人生を生きていると堂々と、子どもたちに言えるだろうか?
 どうか自分に問うてみてほしい。

 自分の人生を生きているのか?
 自分の人生をどう生きているのか?

 次回も、引き続き弘済中学校の生徒の声をお届けしようと思う。

中高生の心を開く専門家/ライフコーチ三橋亜希子
各地の小・中学校、高校、幼稚園などで児童・生徒向け、教職員向けの講演を続ける。幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。

ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル