日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

サトー先生の「きょういく日めくり」~きょうも楽しく学校へ行くために~【第3回】

NEWS

論説・コラム

理論(リクツ)はあとからついてくる

 学校では、とかく瞬時の判断を求められる。そのとき感じた違和感(「なんか変だぞ」や「ちょっと待って」など)は大事にしたいもの。

 それとは逆に、「これはやったほうがいい」と感じたことはまずやってみる。特に、「あとから楽しくなるかも」と直感したときは―これはぼくの経験からなんだけど―ぜひ「やったほうがいい」。

 何かと余裕のないいま、「それってどんな意義があるの?」「やって何になるの?」など、まわりから聞こえる制止の声。でも、立ち止まっててはダメなんだ。「おもしろいかも?」の直感はかなり大切で、それらがやがて、教員の「幅」を広げたり「引き出し」を増やすもととなる。

 ぼくがいま関わらせていただいている、西日本豪雨で被災した愛媛県の酒蔵やまちの復興活動も、やがてどこかでつながる気がした。ぼくの専門は、「教育・教員養成」だから、当初はどんな関係があるの?お酒好きの人たちが、通って集まって飲んでるだけやん―よく言われたものだ。それがいまでは、災害を経験した当地の中学校や高校、まちづくり団体のほか、大学内外のさまざまな組織と、学生ともども関わらせていただいている。いつの間にか、「産学協同」や「文理融合」とか、思ってもいなかった評価をいただくことにもなった。

「理論(リクツ)はあとからついてくる」―大丈夫。楽しく懸命にやってたら、いつかだれかが意味づけしてくれるって。意味ないものなんてどこにもないから。

佐藤功(さとう・いさお)
大阪府立高校教員として33年。酒と温泉と生徒ワイワイ……「生涯現場の一担任」のはずが、生徒や保護者とのわちゃわちゃ大好きを見込まれ、気がついたら大阪大学教職担当初代教授(人間科学研究科所属)。教職志望の学生たちと地域活動やら探究活動やら、日本全国を駆けまわり、現職は「一般社団法人NEOのむら」理事。最近、「国内旅行業務主任」の資格も取ったらしい。著書に『教室の裏ワザ100連発』『気がついたらボランティア』(学事出版)『はじめてつくる「探究」の授業(編著)』(大阪大学出版会)など。「おまかせHR研究会」主宰。

サトー先生の「きょういく日めくり」