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サトー先生の「きょういく日めくり」~きょうも楽しく学校へいくために~【第2回】

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論説・コラム

全部「伏線」、いつか「回収」

 ハラハラドキドキの人気ドラマにはいくつもの伏線が張りめぐらされ、あとから「なるほど!」と感心させられる。登場人物の何気ないセリフや行動がみんな生きてくる。中盤まで、やたら人から裏切られる。だれも信じられない。恋愛もうまくいかない……そんな圧迫や逆境が強ければ強いほど、ラストの大団円(ハッピーエンド)は、より感動的なものとなるものだね。

「それはドラマだからさ。現実はそううまくいかないよ」
 職場でとんでもない事件が続くとき、テレビに向かって何度毒づいたことか。リアルを生きる「当事者」としては、「現実は何をやってもうまくいかないこともあるんだから」。う~ん、すさんでたなー。

 でも、今から思うと、そんな「苦境」も全部なんとか乗り切れたわけだ。多くの同僚が助けてくれた。クラスに思いがけないヒロインやヒーローが出現した。苦境に対峙した生徒たちがやっとそこで力を合わせ、そんじょそこらのテレビに負けない、感涙ドラマをいっぱい見せてくれた。ホンマもんのリアルが奏でる名作~そう。学校はナミダが出るようないい話であふれてる。

 ぼくだけじゃないぞ。なんやかんやで皆、乗り切ってきた。解決不能に見える試練も、乗り越えたときには喜びは大きい。そんな自分だけのドラマを、先輩教員はみな何らか持っている。

 だいじょうぶだって。
 みんな伏線。回収できたときの感動は、思いっきりでかいから。

佐藤功(さとう・いさお)
大阪府立高校教員として33年。酒と温泉と生徒ワイワイ……「生涯現場の一担任」のはずが、生徒や保護者とのわちゃわちゃ大好きを見込まれ、気がついたら大阪大学教職担当初代教授(人間科学研究科所属)。教職志望の学生たちと地域活動やら探究活動やら、日本全国を駆けまわり、現職は「一般社団法人NEOのむら」理事。最近、「国内旅行業務主任」の資格も取ったらしい。著書に『教室の裏ワザ100連発』『気がついたらボランティア』(学事出版)『はじめてつくる「探究」の授業(編著)』(大阪大学出版会)など。「おまかせHR研究会」主宰。

サトー先生の「きょういく日めくり」