令和6年通常国会質疑から【第4回】
NEWS国会では、法案審議の他に、議員の提示した課題に対して政府が見解を明らかにする質疑が行われている。今年6月23日に閉会した通常国会のうち、教育関係の一般質疑の模様を紹介していく。3月22日の参議院文教科学委員会では、不登校の子どものための「学びの多様化学校」に関する参入を容易にするよう求める質疑があった。
小規模な「学びの多様化学校」、設置基準が引っ掛かる
金子道仁議員(維新) 今、民間の団体、学校法人等が多様な学び学校をつくっていきたい、ただ、当然のことながら、小規模な学校をつくりたいと考えるわけです。不登校の子供たちを大規模に集めた学校をつくろうという方は余り多くはないと思うんですね。じゃ、小規模な学校をつくりたいと、その人数に合わせた適切な校舎、校庭の学校をつくりたいというふうに考えたときに、この設置基準が引っかかってきます。
どこが引っかかるかというと、このただし書ですね。文科省としては、この設置基準は、別表のところにあるように、こういう面積の校舎、こういう面積の校庭を備えなければ学校として設置は認めないと。ただし、地域の実態その他特別の事情があり、教育上支障がない場合はこの限りでないということで、その設置基準の緩和の可能性を示唆しています。
ただ、実際に、この設置権限者である都道府県はこのただし書を読めません。そんな勇気を持って小さな学びの多様化学校を認めるということは、過去に前例がないわけですから、横を見て、周りを見て、誰もやらないと、結局、民間の学校、民間の多様な学び学校というのは設置が推進しない。
文科省が目標としている三百という数字、今二十四ぐらいですけれども、三百を目指すんであれば、文科省として、例えば公立でされておられる分教室型の学びの多様化学校のような小規模なものを一つの事例として各都道府県に出していただいて、このただし書を読みやすくなるような何らかの支援を文科省からしていただきたいんですけれども、お願いできますでしょうか。
「やむを得ない事情」、一律には示せぬ
盛山正仁文科相 学びの多様化学校は学校教育法第一条に規定される学校であるため、学校法人格のない民間のフリースクールは設置することができず、学びの多様化学校を設置するためには、原則として学校法人格を取得した上で設置する必要があります。また、設置に当たりましては、その教育水準を確保するため、設置基準に規定する設備等の基準を満たす必要があります。
その上で、金子委員が御指摘のとおり、設置基準におきましては、例えば校舎や運動場の面積について、立地条件及び周囲の環境により確保が困難であるなどやむを得ない特別の事情があり、教育上支障がない場合には基準面積を下回ることも可能であるなどの弾力的な規定となっておりますが、具体的にどのような場合にどの程度基準面積を下回ってよいかは一律にお示しすることが困難でございます。
そのため、文部科学省では、学びの多様化学校の設置を検討する自治体等が様々な課題についての相談や助言を受けられるよう、学びの多様化学校の設置や運営経験のある者などを学びの多様化学校マイスターとして派遣しておりますので、こうした取組も通して学びの多様化学校における設置基準の考え方などを周知してまいりたいと考えているところです。