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ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第16回】

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論説・コラム

授業を受けてから、気持ちが変わった

 先日、愛知県の小学校4年生~6年生までの約450名の子どもたちに、「自分も人も大切にするコミュニケーション」について出張授業を行ってきた。体育館に並んだカラフルな表情をした子どもたち。

 常にリアクションがあり、当てられないほど手が挙がる。手が挙がらなくても、こちらに意識を向けてくれているのもわかる。
 そんな子どもたちからこんな感想が届いた。その一部を紹介したい。

 ―私はこのコーチング授業を受けてから、かなり気持ちが変わったと思います。理由は二つあります。
 一つ目は、これからの人生を変えるような言葉が出てきたからです。例えば「人の役に立つ」「今の自分の気持ち」などのキーワードが、今ってどんな気持ちなんだろう?と思えるようになり、自分が辛い時には、周りの人に頼ってもいいと思ったし、周りの人が辛いなと思っていそうだったら、頼られる人になりたいなと思えることができるようになりました。
 二つ目は、今の自分を見直し、個人差を大切にすることです。今、自分は人を信じられるのか、役に立てているのかということや、自分はそう思っていても、相手はそんなことを思っていないかもしれない時は、人それぞれ個人差があり、いろんな気持ちがいろんな人にわかってもらえるようになってほしいなと思いました。(小学6年生)

 ―私はすごくネガティブになってしまったり、自分に自信がありませんでした。ですが、この授業をきっかけに少し自信もつき元気が出ました。
 自分はもっとできるはずなのに、強い思い込みでできなくなってしまうと聞いてから、すごく勇気をもらえました。
 私は「できない」とわかってしまったら、すぐにあきらめてしまいました。ですが、話を聞いたら「苦手なことも逃げずに少しはがんばろう」と、思えるようになりました。
 これからもあきらめずにがんばりたいです。(小学6年生)

 ―私は少し前に「これよりこっちの方がよくない?」と言われたりして、悲しい思いをしたことがありました。ですが、三橋先生は「否定をしないでどちらも認める」というやり方を教えてくれました。それだと、誰も傷つかなくてとてもすてきだなと思いました。
 これからは、自分にも他の人にもやさしく、そしてポジティブでいたいなと思いました。
 そして、他の人にも教えて、みんなが幸せでいられるような世界にしたいです。(小学6年生)

 ―今回の授業を受けて、コミュニケーションのイメージが「日常生活の中で重要なもの」となりました。(小学6年生)

 ―やっぱり誰かが何かが好きで、自分はそれよりも好きなものがあったとしても、その誰かの好きなものは否定しちゃいけないし「僕の方がいいから、それは捨ててね」とかやっちゃいけないんだなと思いました。
 あと、人のことを信じて損はないし、自分にも責任をもっていろんなことをしていったりしたら、自分も信頼されることができるので、もっとそういう行動を積極的におこなっていきたいです。
 結局はどんな性格の自分も、自分で受け入れて、どんな絶望した時だって自分を信じて、味方も一人や二人は絶対にいるからあきらめないで、また普通に戻れるようにがんばったらいいんだなと思いました。貴重なお話をありがとうございました。もし、自分が人生切羽詰まったら頼りにします。(小学6年生)

 ―初めて、コーチングの授業を聞いて、心に残ったことがあります。それは、相手のことだけじゃなく、自分のことも大切にするということを学びました。
 いつもだと、相手のことを考えて話をしたり、遊んだり、気持ちをしっかり考えてと言われます。私は、人が思っていることにそって話をしたり遊んだりして、自分の気持ちは違うことを話したり遊んだりしたいけど、どうしても人に嫌な気持ちをさせたくないので、ほとんどそうしてしまうことが多くありました。
 でもたまには、自分の想いや気持ちを相手に伝えようと思います。自分が思っていることすべてを相手に伝えすぎると、相手のことを考えられていないと思うから、相手の気持ちのことも考えながら、自分が思っていることを相手に伝えた方がいいと思いました。コーチングの授業で教えてもらったことを活かしたいです。(小学6年生)

 まだまだ一部ですが、小学生のリアルな声。

 授業の中では、「自分だけ」「相手だけ」ではなく、両方とも大切にすることができること。そのためにも、まずは自分が自分の気持ちを聴いてあげることの大切さを伝えている。

 誰もが子どもの頃「相手の気持ちを考えなさい!」と言われたことがあるのではないか。
 もちろん相手の気持ちを考えることは大切だが、「自分の気持ちを大切に」とは言われた記憶はあまりない。

 他にも泣きたい時に「泣くな!」と言われて、感情を出せなくなった経験もないだろうか。

 私たち大人が子どもたちに教えるべきは、感情の抑え方ではなく、感情の味わい方や適切な扱い方なのではないかと強く思う。

中高生の心を開く専門家/ライフコーチ三橋亜希子
各地の小・中学校、高校、幼稚園などで児童・生徒向け、教職員向けの講演を続ける。幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。

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