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交通安全への強い眼差しー交通遺児育英会の使命ー【第3回】

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論説・コラム

学費以外への「給付型」と浪人生向けの「貸与型」

 「交通遺児育英会の元奨学生です。お世話になりました。現在医師となり、がんばっています」(広報紙「君とつばさ」令和6年1月1日号:後輩を支援する奨学生OBから寄せられた言葉)

 奨学生の皆さんが修学して社会に出るまでには学費以外に多くの経費が掛かります。それに対する支援がなければそもそも進学は無理である、あるいはアルバイトに明け暮れ修学に困難をきたすケースもあります。
平成27年下期からそのような経費について以下に示しますような給付型の修学支援を開始し、遺児家庭からの要望を検討しつつ支援項目の拡大を図ってきました。

(1)家賃補助(平成27年下期~) 平均補助額実績:31百万円/年
 当会の学生寮である「心塾」に在籍せず、賃貸住居から通学する奨学生(高校奨学生を除く)に対しては、月額1万5千円の家賃補助をする。

(2)上級学校進学受験費用補助(平成29年度初~) 平均補助額実績:2百万円/年
 高校奨学生を対象として、上級学校(大学や専門学校等)を受験する場合の受験料を補助する。上限5万円。

(3)各種資格取得費用補助(平成29年度初~)
 ⅰ.自動車運転免許取得費用補助(平成29年度初~) 平均補助額実績:18百万円/年
 「普通自動車第一種運転免許」および「準中型自動車第一種運転免許」の取得費用の半額を補助する。上限15万円。
 ⅱ.英語検定試験費用補助(令和6年度初~)
 国公立・私立大学424校が採用する7検定を対象とし、検定試験受験料の全額を補助する。受験回数・金額に上限は設けない。

(4)その他社会情勢の変化により必要とみなされる緊急的支援
 新型コロナウィルス感染拡大に対応する緊急支援
 新型コロナウィルスの感染拡大は、奨学生のアルバイト先、保護者の勤務先の縮小により遺児家庭の収入に大きな打撃を与えました。これへの緊急支援を理事会で即決していただき、令和2年~4年で計5回一人当たり10万円(初回は20万円)の支援金を給付しました。

 浪人生への支援は、去年の夏の「高校奨学生と保護者のつどい」で保護者から提案されたものです。事業改善、改革の大きなヒントとして、保護者からの要望、提言等を大事にしています。
 令和6年度から実施しています。

 ⅰ.名称 進学支援金(貸与)
 ⅱ.対象者 本会の大学等予約奨学生であったものの予約年度の奨学生採用の要件を欠き、再度翌年度の大学等奨学生予約願書を提出した者(1回限り)
 ⅲ.貸与額 40万円、60万円または80万円の選択制

石橋健一(いしばし けんいち)
公益財団法人 交通遺児育英会 会長
1942年生まれ。北海道大工学部卒業後、日新製鋼入社。呉製鉄所エネルギー技術課、本社人事部などを経て、1996年交通遺児育英会出向。事務局長、専務理事、理事長を歴任し2023年6月より現職。

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