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令和6年通常国会「質問主意書」から【第3回】

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 国会議員が国会開会中、政府に対して文書で質問する「質問主意書」。開会中の通常国会でも、教育に関する課題を浮き彫りにし、政府の考えを引き出そうとする質問が出ている。3月26日には、石垣のりこ参院議員(立憲)が「LD(学習障害)、ディスレクシア、発達障害等により文字の読み書き学習に著しく困難を抱える児童生徒の教科書に関する質問主意書」を提出。児童・生徒の特性に合わせて読みやすくする「デイジー教科書」について、利用状況の地域間格差を埋めるための方策を尋ねるなどした。

【質問】

 一般的な理解能力などに特に異常がないが文字の読み書き学習に著しい困難を抱えるLD(学習障害)、ディスレクシア、発達障害等の児童生徒にとって、学校で使用される一般的な検定教科書に記載されている内容を把握することは困難である。
 このような児童生徒に対し、音声教材、デイジー教科書の使用が推奨されている。また、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(以下「教科書バリアフリー法」という。)において無償給付の対象とされている教科用拡大図書(以下「拡大教科書」という。)にルビ振り対応もできるようになっている。
 令和四年に文部科学省が実施した全国実態調査においては、小学校及び中学校の通常の学級において、知的発達に遅れはないものの学習面で著しい困難を示すと担任教師等が回答した児童生徒の割合は六・五%あると報告されている。
 しかし、令和四年度のデイジー教科書の利用児童生徒数は一万九千五百八十八人で児童生徒の〇・二%程度にとどまっている。
 文部科学省は地方自治体の担当者を集めた会議等で上記の教科書の活用について説明をしているとのことだが、児童生徒に支給するかどうかを判断する地方自治体の担当者及び一般の教員にまで浸透させる必要がある。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 デイジー教科書について、都道府県ごとの利用児童生徒数の実績をみると地域差が大きく、特に、北海道、東北、四国地方の中に著しく低い県がある。地域間格差をなくすために所管課長等を対象とした会議を各地域で開催するなど市町村教育委員会の職員や一般教員まで制度を周知する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 デイジー教科書は児童生徒に配付されているタブレットにダウンロードして使用される教科書になるが、児童生徒の中には「みんなと違うことが嫌」ということで使用しない場合もある。児童生徒から教科書の相談を受けた際に教員や地方自治体の教育委員会の担当者はデイジー教科書と合わせてルビ振りをした拡大教科書も紹介する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 教科書バリアフリー法に基づき拡大教科書などの教科用特定図書等の無償給与に関する手続等を定めた「障害のある児童及び生徒のための「教科用特定図書等」の無償給与実施要領」の給与対象者は視覚に障害がある児童生徒を対象とする記載になっており、視覚には障害のない読み書き学習に著しい困難を抱える児童生徒も対象となっているとは読み取れない。読み書き学習に著しい困難を抱える児童生徒も対象となり得ることを明記すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

【答弁】

一について
 文部科学省において、都道府県教育委員会等の担当者や各学校の教員等を対象として、御指摘の「デイジー教科書」をはじめとする音声教材やその利用事例などの周知を図るための会議を実施しているところであり、こうした取組を引き続き実施してまいりたい。

二について
 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(平成二十年法律第八十一号。以下「法」という。)第二条第一項において、教科用特定図書等とは、「視覚障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため文字、図形等を拡大して検定教科用図書等を複製した図書…、点字により検定教科用図書等を複製した図書その他障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検定教科用図書等に代えて使用し得るもの」と規定されており、障害のある児童及び生徒が検定教科用図書等(同条第二項に規定する検定教科用図書等をいう。)を用いた学習に困難がある場合にいずれの教科用特定図書等を用いるかについては、法第九条第一項を踏まえ、児童及び生徒の障害の状態等に応じて、各学校及びその設置者が適切に判断しているものと考えている。

三について
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、「障害のある児童及び生徒のための「教科用特定図書等」の無償給与実施要領」(平成二十二年三月十二日文部科学省初等中等教育局長決定。以下「要領」という。)における教科用拡大図書及び教科用点字図書については、法第二条第一項において、「視覚障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため」と規定されているものであることから、御指摘の「視覚には障害のない読み書き学習に著しい困難を抱える児童生徒」は、要領における「給与対象者」ではない。

令和6年通常国会「質問主意書」から