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ライフコーチの視点から 現代を生きる子ども・若者のリアル【第5回】

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論説・コラム

自責とは、自分を責めるのではなく自分の責任にすること

 ―幼少期に辛い経験をされ、ずっと自分ではなく他人を主語に生きてきたと聞き、私もつい他人を主語にしがちだなと思った。私は人よりも自我が強いところが昔からあるので、「私」を主語にして生きてきたと思っていましたが、いざ思い返してみると全然自分を主語に出来ていなかったなと気づいた。
 自分の見方次第で世界が変わったように感じたという話は、私も実際体験したことがあるのでとても納得した。これからはそれを上手い方向に見れるようになりたい。
 また、「変えられないことに意識を向けるのではなく、変えられることに意識を向ける」というのは、小さなことに対してもそうで、例えば嫌いな教科ばかりの時間割に嫌だというのではなく、どうしたら面白くなるかなと考えを変えるともっと自分のために生きていると思えると思った。
 自分の強みは本当に自分では分からなくて、人の強みを見つけては劣等感を感じることも多かったが、強みは自分が当たり前にできているから気付きにくいと聞いて、なるほどと思った。
 弱みをひっくり返して自分の強みに気付いてあげたいと思った。
 繰り返し、最終的に諦めるのも、決められるのも、正解にするのも自分自身と話されていて、確かに他人を主語にしていれば自分は自分の人生に責任を持たなくて済むけれど、それだと生き苦しくなってしまうし、何も楽しい人生が送れないが、自分を主語にできたら、自分の人生に責任を持たなきゃいけない代わりに自分の楽しい、思うままに生きられると思ったので、自分に責任を持てるようになりたい。
 私もやりたいことがあるけど、今まで十分色々やらせてもらったし、兄弟もいるからあまり我儘言えないなと思っていたが、自分がお金を稼ぐようになってからでも始めるのは遅くないのかなと思うことができた。心の中で私には無理と思ってしまっていたところもあるから、一回挑戦してみたいと思う―

 ―感じたことは自分の人生に妥協や遠慮は要らないということです。自分の存在価値がわからなくなった時にないもの探しをしてしまいます。環境や自分を責めるのではなく、自分の責任と捉えて諦めないことが大切だと思います。たとえ否定されたりしても自分が思ったことを溜め込まずに、自分のやりたいと思ったことを信じてあげたいです―

 ―講演にあった、自分の人生の中で誰を主語にしているかという言葉を考えていました。私はよく家族を主語にしていると思いました。家族が一番大事だと思っているからという考えが一番大きいのですが、自分の意見に責任をもてないので、家族の意見に任せきりになっている部分が大きいと思います。自分の将来の夢、やりたいことは特に決まってないのですが自分のやりたいことをしっかりと見つめ直したいと思います―

 講演後の、高校生のリアルな声。

 人の判断に委ねていた方が楽な時もある。親や大人の言うことを聞いていた方が、楽な時もある。何かあった時、うまくいかなかった時に、誰かのせいにできるから。

 でも、自分の人生を歩んでいくのは、他でもない自分自身。本当に誰かに委ねていいのだろうか?
 誰かのせいにしたところで、その誰かが最後まで責任をもってくれるのだろうか?
 答えは「NO」だ。

 そんな気づきを、ある生徒さんはこんな風に伝えてくれた。
 「確かに他人を主語にしていれば自分は自分の人生に責任を持たなくて済むけれど、それだと生き苦しくなってしまうし、何も楽しい人生が送れないが、自分を主語にできたら、自分の人生に責任を持たなきゃいけない代わりに自分の楽しい、思うままに生きられると思ったので、自分に責任を持てるようになりたい。」

 たった60分の講演。それでもこうして、気づきを得て多くのことを吸収していく子ども・若者たち。彼らは本来とても柔軟で自由だ。

 だからこそ私たち大人は、彼らの責任を奪ってはいけない。大人にできることは、彼らが自分で決めて、自分で行動していくことを応援すること。
 そして、もし何かあった時に「自分の責任なのだから、自分で何とかしなさい」と、手を振り払い、孤独にさせてしまうのではなく、安心して自分と向き合える環境を作ってあげること。それはきっと、私たち大人も子どもの頃に欲しかったものではないだろうか。

中高生の心を開く専門家/ライフコーチみつはしあきこ
 幼少期に父親から虐待を受け、学校では、いじめの標的になった経験を持つ。成人後も、自分の思うような生き方ができなかったが、東日本大震災をきっかけにコーチングを学び、独立。3兄弟の母。ホームページ(https://mitsuhashiakiko.com/)に情報多数。

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