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令和5年 通常国会質疑から【第2回】

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行財政

 開会中の通常国会では、予算案・法案審議の他にどのような質疑があったか。衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などでは、まだ、あまり明らかになっていない政府の考え方などが見えてくる。3月9日の参議院文教科学委員会では、立憲民主党の宮口治子氏がフリースクールへの経済的支援について質問している。

フリースクールに経済的支援を

 宮口治子議員(立憲) 文部科学省が公表した問題行動・不登校調査で、全国の小中学校で二〇二一年に学校を三十日以上欠席した不登校の児童生徒は、前年度から四万八千八百十三人、二九%増の二十四万四千九百四十人となり、過去最多となっています。
 学校に居場所がなくなった子供は救わなければなりません。様々な学校で取組はされてはおりますが、フリースクールの果たす役割、存在意義は現在大きいと思っています。実際、文科省のホームページの中にフリースクール・不登校に対する取組というページがあります。私たちも、先日、当委員会での視察で、ひよこの家を視察に行ってきました。フリースクールの果たす重要性は意見が一致するところではないでしょうか。
 しかし一方で、フリースクールに対して国が経済的支援をする法律というのはないのが現状です。その理由はなぜでしょうか。また、文科省も、ホームページでフリースクールについて記述をしている以上、フリースクールの定義や基準をしっかり定め、その基準に沿ったフリースクールに対しては経済的支援をするというのが合理的かと考えますが、お考えを大臣、お聞かせください。

憲法と関係し、慎重に検討

 永岡桂子文科相 不登校児童生徒が、家庭の経済状況に関係なく、フリースクールや教育支援センターなど学校以外の多様な場で社会的自立に向けて学習等に取り組むことができますように、きめ細かな支援体制を整備することは重要であると考えております。
 議員御指摘のいわゆるフリースクールとは、一般的に、不登校児童生徒に対しまして教育相談、体験活動、学習指導等の活動を行っている民間施設であると承知をしておりますが、直接支援をすることにつきましては、公の支配に属さない教育の事業に対する公金の支出を禁じております、これ憲法八十九条との関係などから、慎重に考える必要があると考えているところでございます。
 一方で、教育機会確保法におきまして教育委員会や学校との連携の必要性を示しておりまして、文部科学省といたしましては、令和五年度の予算案におきまして、教育委員会等とフリースクール等の関係機関の連携協議会の設置ですとか、フリースクール等と合同で行います教職員向けの研修会の実施を支援しているところでございます。
 また、経済的支援につきましては、フリースクール等で学ぶ困窮家庭の不登校児童生徒に対して、通所や体験活動に必要な費用を支援をしながら、そうした取組が社会的自立に与える効果の検証を進めているところでございます。

令和5年 通常国会質疑から