令和5年 通常国会質疑から【第1回】
NEWS開会中の通常国会では、予算案・法案審議の他にどのような質疑があったか。衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などでは、まだ、あまり明らかになっていない政府の考え方などが見えてくる。3月9日の参議院文教科学委員会では、自民党の赤池誠章議員が有事対応、安全保障に関する教育について質問している。
有事対応、安全保障に関する教育の現状と対策は
赤池誠章議員(自民) 有事対応、安全保障に関する教育というのはどうなっているのでしょうか。現状と対策についてお伺いいたします。
指導要領に明記、周知を徹底
文部科学省初等中等教育局長 学習指導要領では、中学校の社会科公民的分野や高等学校の公民科公共などにおいて、我が国の安全と防衛、国際貢献を含む国際社会における我が国の役割などについて明記をしております。
これを受け、例えば高等学校においては、国際情勢の変化や国際社会の動向を踏まえつつ、我が国の安全保障に向けての多角的な努力、日米安全保障条約や我が国の防衛、国際社会の平和と安全の維持のために自衛隊が果たす役割などについて理解したり、変化する国際情勢の中で我が国の安全と平和を維持するためにどのような取組が有効か考察したりする学習などが行われているものと承知をしております。
文部科学省としては、引き続き、各学校において学習指導要領に基づく指導が着実に行われるよう、趣旨の周知に努めてまいります。
厳しい環境、教科書に感じられない
赤池議員 私も、その学習指導要領、そして文科省がお作りになられる解説と、それを踏まえてそれぞれ教科書会社が小学校、中学校、高等学校とそれぞれ教科書を作成して、検定という形でそれを各設置者が採択をするという、こういうことになるわけでありまして、実際どういうふうに子供たちが教科書で学んでいるかということで見てみますと、高校も新たに今年度から公共という全ての高校生、一年生必修の科目をつくったわけでありますが、残念ながら、我が国が取り巻く大変厳しい安全保障環境、昨年からロシアのウクライナ侵略もございましたので、それを教科書に採用するというのは時間的に厳しいとはいえ、やっぱりこの厳しさが教科書を読んでいても感じられないというのが率直な思いであります。
そういう面では、仕組みの説明よりも、やっぱり現状認識なんですよね。防災もそうですし国際環境もそうですが、どういうふうに認識するかということがまず最初の論理的思考力の大前提なのに、その危機感が、マスコミからは、又は様々な他の媒体からは感じられるのに、肝腎要の教科書からは感じられないということは、やっぱりそのずれというのを感じざるを得ないわけであります。時間のずれは当然あるとはいえ、それをどう機動的にやっていくか。当然、様々な教科書会社も途中でいろんな資料をやったり副読本ありますので、その辺は是非工夫をしていただきたいと思います。
危機に陥るという意味では災害も有事も同様でありますから、これらの対策や国民一人一人の心構えを含めた構えが当然異なるものにならざるを得ないわけであります。
災害時、自衛隊は被災した国民を助けに来てくれます、防災、救助。しかし、先ほど言ったように、複合災害と有事対応が一緒になった場合、自衛隊は本来の職務を遂行するのであって、災害時のように国民を助けることに残念ながら専念はできなくなるという現実もございます。この認識があるのとないとでは有事の臨み方が大きく変わってくるわけでありまして、これも生き抜く力の一つだと思っております。発達段階に応じて学んでおかなきゃならないことはまだまだあると考えております。