令和4年 臨時国会質疑から【第2回】
NEWS今月閉会した臨時国会では、予算案・法案審議の他にどのような質疑があったか。衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などでは、まだ、あまり明らかになっていない政府の考え方などが見えてくる。10月27日の参議院文教科学委員会では、インクルーシブ教育をめぐる国連勧告について質問があり、政府側は、「本人や保護者の意向を最大限尊重」との文言を繰り返した。
勧告にはどう対応
宮口治子議員(立憲) 八月二十二日、二十三日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で日本政府は障害者の権利に関する条約に関する初めての審査を受け、そこで障害者権利委員会は、日本政府に対し、特別支援教育の廃止、特別支援学級の生徒が半分以上の時間を普通学級で過ごすべきでないとする文科省通知の撤回など六項目をほかのテーマより強い喫緊の課題として勧告いたしました。
条約締約国である日本はその内容を遵守する義務がありますが、大臣所信ではこのインクルーシブ教育についての言及がなかったかのように思いますが、大臣はこの障害者権利委員会の勧告をどう捉え、どのように対応していこうと考えていらっしゃるか、お考えをお伺いいたします。
可能な限り共に育つ条件整備進めた
文科省初等中等教育局長 九月の九日に障害者権利委員会の総括所見が公表され、教育につきましては、分離、特別教育を終わらせることを目的とし、障害のある子供がインクルーシブ教育を受ける権利を認識すること、質の高いインクルーシブ教育に関する国の行動計画を採択することなどが勧告をされたところでございます。
文部科学省では、これまでも障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んでまいりました。引き続き、勧告の趣旨を踏まえ、本人や保護者の意向を最大限尊重しながら、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
勧告の趣旨踏まえる
永岡文科相 文部科学省では、これまでも障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすためのこれ条件整備として、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んでまいりました。引き続きまして、勧告の趣旨を踏まえ、本人や保護者の意向を最大限尊重しながら、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めてまいります。
支援学校の強制は問題
宮口治子議員 私の息子も、特別支援学校に通ってしっかりと専門的に見ていただき、手厚い教育支援を受けさせていただきました。また、同じような気持ちを持つ保護者の皆さんとの連携も強く持つことができ、特別支援学校に子供を通わせる保護者の方から、特別支援学校をなくすというのは違うのではないかという声もいただいております。
ただ、親が望まないのに強制的に特別支援学校に通う選択肢しかないというのが問題だと思います。最終的には、障害の有無を問わず子供たちみんなが同じ空間で過ごすことがとても大事だと思います。
今後、どうやってインクルーシブ教育を更に進めていくかについては、改めて大臣と議論を交わしていきたいと思っています。今回の臨時国会では法案も今のところ予定されておらないようですし、しっかりと大臣と質疑をさせていただくお時間を取っていただけるようにお願いいたします。