全国SLA通信 新しい教育を拓く学校図書館【第4回】
4面記事掲示・展示で図書館に新鮮な風を
学校図書館の環境づくり
掲示・展示の効果
図書館に足を向けさせ、いかに読書の世界を広げさせるか。その手法の一つに、掲示・展示がある。掲示・展示を工夫することの効果を次のように考え、年間を通して計画的に掲示・展示を変えている。
(1) 自分では選ばないような本も展示本を立ち読み、味見読みをすることで、読書の幅を広げることができる。
(2) 児童参加型の掲示・展示を工夫することで、来館意欲を高めることができる。
(3) 展示本を選ぶ作業によって、蔵書を見直し、必要な本を購入することができる。
(4) 図書館便りとリンクさせた掲示・展示にすることにより、教師や保護者に対する情報提供や啓発につながる。
月別のテーマで本の魅力を伝える
前任校の仙台市立将監小学校では、図書館前の廊下の掲示板に、月ごとにテーマを決めて、掲示と展示を行っていた。テーマは次のような視点で、年間を見通して司書教諭が決めている。
・季節感のあるもの
・話題になっているもの
・行事に関連するもの
・学習に結びつくもの
・ぜひ知ってほしい主役の本があるもの
次に、テーマにそった本を司書教諭と図書事務員が協力して選ぶ。図書委員や、読書クラブの児童に選ばせることもある。
掲示物の作成にあたっては、情報の正確さや展示場所の安全性に加え、以下の点を心がけている。
・本が主役になるようにする。
・装飾的意味合いより、学習的な意味合いを持たせる。
・図書館近くを通る人が足を止めてみたくなるようなキャッチコピーにする。
・展示する本は9類(文学)に偏らず、幅広く選書する。
・低学年から高学年までを対象とする。
・図書館便りにも「今月の展示」を掲載する。
・クイズ形式など、児童が参加できる掲示を取り入れる。
本の魅力を伝え、児童にも、教師や保護者にも活用を促すように、そして、児童とつくる図書館の実現のためにも、今後も掲示・展示を工夫していきたいと考えている。
(仙台市立川前小学校教諭・澤田直美)
12月の展示
1月の展示
INFO
「としょかん通信」を学校図書館の環境づくりに活用しよう
児童生徒が行きたくなるような学校図書館の環境づくりの一助となり、図書館を活用した学習や読書の世界を広めることを目的に、全国SLAは、学校図書館写真ニュース「としょかん通信」(小学生版と中・高校生版の2種類)を発行している。
毎月、次のA・Bの2枚1組でお届けしている。Aは、季節や年中行事、時事にちなんだタイムリーな話題、Bは学校図書館の利用指導のための掲示資料として常掲できる内容や、教科学習に役立つ内容。作家の紹介も豊富である。
毎月貼り替えるだけで、児童生徒の好奇心を高め、「としょかん通信」の掲示とともに関連した本を並べてコーナーを作るなど、ディスプレイの工夫もできる。付録の「ぷらす・あるふぁ」(B5判・4ページ)には、関連の記事や、図書館クイズなどすぐ使える素材を掲載している。
「としょかん通信」
535×776mm
毎月1日発行、オールカラー
定価= 990円(税込)
年額=11880円(税込)
「としょかん通信」と関連図書(國學院久我山中学・高等学校)
問い合わせ
公益社団法人全国学校図書館協議会
〒112―0003 東京都文京区春日2―2―7
Tel03―3814―4317
FAX03―5804―7546
※本稿の記事は月刊「学校図書館」に掲載したものが含まれます。