教育現場におけるSNSのマナーとリスクマネジメント【第4回】
NEWS「フェイクニュース」から子どもを守る
インターネットやSNSで情報収集や勉強を行う子どもが増えています。手軽に最新情報を調べられるなどのメリットも多い一方で、フェイクニュース(偽情報・誤情報)には注意が必要です。子どもたちがだまされたり広めたりしないよう、フェイクニュースの実態や見分け方について解説します。
SNSで情報収集・勉強する子どもが増えている
10~17歳の子どもは、インターネットを使って何をしているのでしょうか。内閣府の調査結果によれば、「動画を見る」が90・3%、「ゲームをする」が82・0%、「検索する」が78・5%と多く、次いで「音楽を聴く」が73・4%、「投稿やメッセージ交換をする(メールやチャットを含む)」が65・4%、「勉強をする」が61・7%、「ニュースをみる」が47・5%と続きます。
中でも、「動画を見る」「検索する」「勉強をする」「ニュースをみる」といった、インターネットやSNSで情報収集や勉強を行うと答えた子どもの割合が前年に比べ大きくなっている点は注目に値します。
出典:令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
第1章・図表 2-1-1-4-1 インターネットの利用内容 https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/tyousa/r03/net-jittai/pdf/2-1-1.pdf
フェイクニュースと子どもたち
情報収集や勉強でインターネットやSNSを活用することには、「手軽に」「大量の」「新しい」情報を取得できるメリットがある反面、「フェイクニュース」に出合いやすく、だまされやすいリスクがあることも忘れてはなりません。
※フェイクニュース:明確な定義は定まっていませんが、本稿では偽情報・誤情報などを指すものと定義します。
フェイクニュースには、例えば「大地震が発生した市の動物園からライオンが放たれました!」「深く息を吸って10秒我慢し、咳や息切れがなければ、新型コロナウイルス感染の可能性は低い」といったものが挙げられるでしょう。
子どもにとって、フェイクニュースはどのくらい身近なものなのでしょうか。総務省が令和2年3月に公開したフェイクニュースに関する調査結果において、全年代のうち10代の回答が最も高かった項目を一部抜粋してみます。
・フェイクニュースをSNSで見かける:64・0%
・フェイクニュースを見分ける自信がある:30・5%
・フェイクニュースを拡散したことがある:27・0%
・「ディープフェイク」を知っている:33・0%
※ディープフェイク:顔だけをすり替えた画像や動画。また、本人の表情、声、話し方まで捏造し、あたかも本人が話しているかのように見える動画。
「フェイクニュースはよく見かけていて、『自分はフェイクニュースを見分けられる』と自負する一方で、フェイクニュースにだまされて拡散したこともある」のが、10代の子どもの傾向と言えそうです。
出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000693284.pdf
フェイクニュースにだまされない・広めないために
得た情報がフェイクニュースか否かを見分けるために、以下のチェックリストを使って事実確認を行うようご指導いただきたいと思います。
・情報源を確認しましょう。省庁、新聞社など大手メディア、大企業など、その分野の専門家・専門知識や資格をもった人が責任をもって発信している場合は、事実である可能性が高まります。
・文章・画像・動画の一部だけが拡散されている場合は、全体を見て内容を確認しましょう。
・画像が加工されていないか確認しましょう。また、「画像検索」してみましょう。過去に撮影された写真、まったく無関係の写真が使われているケースもよくあります。
・複数の情報源を調べましょう。複数のメディアが(コピーペーストではなく)それぞれの言葉で報じている場合は、事実である可能性が高まります。
しかし、巧妙なフェイクニュースを見破るのは、知識や経験豊富な大人や専門家でも難しいものです。「フェイクニュースにだまされない・広めない」ために、子どもも大人も以下を心に留めておくほどの慎重さが望ましいでしょう。
・真偽がわからない情報は、拡散しない
・どんな緊急性のある情報に出会っても、一呼吸おいて「嘘では?間違いでは?」と考えてみる
参考:https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/nisegojouhou/
https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/safety/point/information/information_02.html