全国SLA通信 新しい教育を拓く学校図書館【第2回】
4面記事心を育てる読書感想文
読書感想文の指導、ここがポイント
読書は好き、読んだ本について紹介する活動も大好きという子どもたちも、またそれを指導する先生方でも、「読書感想文を書く」という学習には難色を示すことがある。
それは、書き方が分からない、たくさん書かなくてはいけないという思いが強いのではないか。では、どう指導したらよいのか、いくつかポイントをお伝えする。
まずは本を選ぼう
読書感想文に苦手意識をもつ子どもに共通するのは、選書力が育っていないことだろう。選書力を育てるためには、学校図書館の環境作りも含め、学校図書館活用年間指導計画と日頃の指導が不可欠である。
具体的には、
・実態に合わせた推薦図書リストの作成
・青少年読書感想文全国コンクールなどの課題図書を紹介する
・季節やテーマに合わせた本を展示紹介する
・子ども同士の紹介の機会を設ける
・読書の記録をつけさせる
などが考えられる。
教室で日常的に様々なジャンルの本を薦め、読ませる手立てをとりたい。自分では選ばない本の中にその子の今の気持ちにぴったり寄り添う本があるかもしれない。たとえば担任や司書教諭が、読み聞かせやブックトーク(3冊程度のミニブックトークでも可)などを日常的に行いたい。授業中はもちろん、休み時間も子どもたちと関わっている学校司書は個々の子どもの読書傾向や読書力について理解がある。担任と連携して、その子に最適な本を薦めることが、選書力を育てる一番の早道かもしれない。
どのように書かせるか
まずは、作品集などで優れた読書感想文を紹介し、同年齢の子どもたちがどのように考え、どのように表現しているかを学ばせたい。
書く対象の本が決まったら、次のような項目で書き方の型を示すことが必要である。
・選書の動機
・本の内容の概略
・2~3の柱建て(特に心に残った個所に付箋を入れ、その中から2~3に絞る)
・自分との対比や本の内容に関する体験
・本から得たことや考えたこと
・これからやってみたいこと
これらの中から学年や子どもの実態に応じた項目を、ワークシート等を活用して指導していく。ワークシートをもとに、感想を交流し、自分の考えを深めることも重要である。
さらに、原稿用紙の使い方の指導も大切である。句読点の打ち方、引用する際の約束、改行の仕方など。また出来上がった感想文を読み直して、人権上の配慮や漢字・仮名使いも含めた推敲をさせ、わかりやすい文章を目指すことを指導したい。
授業時数などの事情でますます読書感想文指導は内容の精選が求められる。しかし、読書感想文の指導で子どもたちの内面の成長が図られることは間違いない。各学校や子どもたちの実態に合わせて工夫してほしい。
(東京学芸大学・明星大学非常勤講師・石橋幸子)
第43回全国学校図書館研究大会(オンライン大会)
新しい教育を拓く学校図書館~ICT活用の新たな可能性~
参加申込み受付中!
主催
(公社)全国学校図書館協議会
後援
文部科学省ほか
期日
2022年8月3日(水)から8月31日(水)まで動画(オンデマンド)配信
参加者
学校図書館、学校図書館教育に関心のある方
参加費
7000円(参加登録された方は、全ての分科会が閲覧可)
講演
子どもの読書における紙とデジタルの使い分け~認知科学からの考察~(群馬大学情報学部教授・柴田博仁氏)
分科会
<実践発表>
情報活用授業コンクール優秀賞受賞校
ICT活用と学校図書館
読書感想文の指導
学校図書館教育とカリキュラム・マネジメントほか
<講義>
教育の情報化と学校図書館
GIGAスクールと著作権
新聞活用と学校図書館
高校の探究学習と学校図書館
学校図書館におけるMIE
子どもの読書に関する調査の報告
特別支援教育における学校図書館の現状など
<学校図書館視察>
中学校・高等学校
参加申し込み
インターネットの「参加申込み専用サイト」からのみ。全国SLAのwebサイトからも、専用サイトに入ることができる。詳細を確認の上申し込み。
参加申し込み専用サイト
http://www.mwt-mice.com/events/43toshokan
申し込み期間
2022年6月22日(水)~8月15日(月)
問い合わせ
公益社団法人全国学校図書館協議会
〒112―0003 東京都文京区春日2―2―7
Tel 03―3814―4317
FAX 03―5804―7546
※本稿の記事は月刊「学校図書館」に掲載したものが含まれます。