どうする?自立活動【第32回】
12面記事横浜市立桜岡小学校個別支援学級の取り組み 上
実態把握は「自分の目での確認」重視
横浜市立桜岡小学校の個別支援学級(特別支援学級)は本年度、知的障害個別支援学級2クラス、自閉症・情緒障害個別支援学級2クラスの4クラス編制となっている。
本多茂子・非常勤講師は、個別支援学級の知的障害支援学級の担任を務めている。横浜市立小学校の教諭として長年勤務し、個別支援学級の担任も15年間にわたって担当してきた。定年退職後も再任用され、非常勤講師として特別支援教育に携わり続けている大ベテランである。桜岡小には昨年9月から勤務している。
同小の特別支援学級では、教育活動全体を通して、自立活動を年間計画の中に位置付け、指導を行っている。
自立活動を行う上で大切にしていることについて、本多講師は「子ども一人一人の実態を明らかにすること。つまり、障害の状態、発達や経験の程度、興味・関心、学習や生活面での長所や良さ、課題などの情報を収集することが必要である。また、収集した情報の整理、課題の抽出、課題同士の関連の整理などを行い、児童一人一人の中心的な課題の設定をする。さらに、個別教育支援計画、個別指導計画を作成して、自立活動や教育活動全体を通して指導することが大切である」と話している。
実態を把握するためには、就学前の幼稚園、保育園からの情報、前担任からの引き継ぎ、保護者からのアセスメントはもちろん、何よりも「教育活動全ての場面で児童一人一人の姿を自分の目でしっかり確認すること」を大事にしている。
具体的には「どんな場面で、どのような『困っていると感じること』を持っているのか」「どのような支援をすることで安心感を持って活動に取り組んでいるのか」「児童自ら積極的に取り組んでいる活動はどんな活動なのか」「環境の変化や集団への参加の状況はどうなのか」などを丁寧に観察・記録し、一人一人の課題を見いだしていく。
その上で「自ら進んで活動している児童には、時折声を掛けながら見守る」「気持ちの不安定な児童には、児童の気持ちに寄り添いながら活動を見守る」「コミュニケーションを苦手とする児童には、教師との会話の場面を多く設け、児童の気持ちを大切にしながら活動を選択、決定できるようにする」「環境や集団を苦手とする児童には事前に活動の見通しが持てるようにする」など児童一人一人の実態に対応し、「全体でどのような活動を取り入れ、指導していくことが一人一人の課題を解決できることになるのか」を常に考えながら題材を設定し、自立活動を進めることを重要なポイントとして挙げる。
8日の知的障害個別支援学級では、「『手先の巧緻性や持続性を高める活動』を指導するクラス」と「『心理的な安定』『人間関係の構築』『コミュニケーション』など多様な指導課題を設定したクラス」を設定して自立活動を実施した。