令和4年通常国会質疑から【第1回】
NEWS開会中の通常国会では令和4年度予算案や法案の審議と並行し、衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などで、教育問題をめぐってさまざまな討議があった。2月17日の衆議院予算委員会第四分科会では、後藤田正純氏(自民)がいじめ問題について質問。いわゆる内申書に、いじめに関する行動の記録を残すよう求めた。末松信介文科相は「大変難しい宿題」として受け止めている。
いじめへの加担、「内申」に記述せよ
後藤田議員 歴代大臣がもういじめを減らすんだとやっていたら減っているはずなんですよ。だけれども、増えているんですよね、どんどんどんどん。だから、済みません、歴代、さっきいらっしゃったのにいない、別に批判しているわけではありませんが、やはり、具体策を政治家が出さなきゃいけない、大臣になった方。
私、一つ提案なんですよ。よくよくいろいろ考えて、いわゆる内申というのがありますね。これは、小学校から中学校、中学校から高校、高校から大学も含めて、ただ受験のためのというよりも、その子供のよさ、そしてまた問題点、こういったものが引き継がれていくわけですが、いろいろ文科省に聞きますと、内申というのはいいことしか書かない、そして、これを決めたのは教育委員会である、こういうことらしいんですよ。だから、私は、いじめをしたとか、いじめに加担したも、軽いものから重いものまで、これはちゃんと記述して、そして内申に入れるべきだと思いますよ。そして、それを、小一から、初等、中等、高等教育まで毎回、学校現場で保護者会をやるわけでしょう、こういうことが起きたら内申に響きますよと、これを必ず親に言う、保護者に言う、そして子供に伝える。こういうことをやはりもうやる段階に来ていると思いますよね。
いいことしか言わないんですというのは文科省さんの説明でした。百歩譲って、例えば、いじめを止めたとか、いじめを通報したとか、いじめと戦ったとか、こういう子供にはプラスの内申を与えるとか、これぐらいのことをもうやらなければいけない。
今、学校現場も大変だ、忙しいというけれども、こういう問題も、規制と規制緩和の話と一緒ですよ。事前規制すると楽なんですよね、その後の仕事がなくなる。事後規制になると、ある程度自由を認めるわけですから、いろいろな問題に対処しなきゃいけない。だけれども、僕は、ここまで異常事態のいじめ問題は、ある程度、これはやはり具体策としてこういうことをやるべきだと思うし、何ら問題ないと思うし、受け入れる中学校、高校、大学だって、その人間の人となりが見られる、そしてそれを抑止力として小さい頃から保護者にも伝える、こういう仕組みを文科省が、大臣が、やるべきだと言っていただけないかなと。これも教育委員会、我々政治は介入できませんから、文科省だけが指導できるんですよね。
是非そこの点について、具体案として申し上げましたが、いかがでしょうか。
議論百出、重い宿題
末松文科相 大変鋭い御指摘と同時に、大変難しい今御質問を受けたと思ってございます。
先生おっしゃったように、内申書というのは、やはり長所を書いてあげるということであります。そこに、いじめをした子が、内申書に、この子はいじめをして他の生徒に迷惑をかけたということで、極めて傷をつける、減点的なことを書く、そういうことをルール化しましょう、内申書に書きますよとなれば、私もこの前、文科省の幹部を集めたときに、それって抑止力につながることにはならないかという話をしたんですけれども、本来的に言えば、どうしても、内申書というのは得点主義的に考えてあげる、そういう考え方が文科省も強い。最終的には、各教育委員会がどういうように考えるかという判断になってはまいります。
したがいまして、現状において、伝統的手法というんでしょうか、きちっと、いじめを早く見つけて、そして対処する方法を決めて、どうしようもないときにはいじめている子供の出席の停止を求めて、親にも通報し、更に悪化するようでしたら警察すら相談しても差し支えはないというような事態を迎えるかもしれません。内申書にそれを書き込んで抑止力になるかどうかといったら、それは、全国、議論は百出すると思います。
大変難しい宿題を今日いただいた、そういうところで今日はちょっと受け止めておきたいと思います。現状においては、文科省はまだできないという状況です。
(議事録から抜粋)