GIGA元年 文科省StuDXチーム通信【第4回】
NEWS学びの両輪―普段使いと教科等での学び―
GIGA StuDX(ギガ・スタディーエックス)推進チームサブリーダーの石田有記と申します。この4月から教育課程課教育課程企画室長として、学習指導要領を担当しています。
まずをもちまして、本通信の読者である教育関係者の皆様におかれましては、学習指導要領の下での初等中等教育の充実に向けた取り組みに対し、それぞれのお立場から御理解、御支援、御力添えを賜っておりますことに厚く御礼を申し上げます。
教科等での指導事例について
今回は、StuDX Styleに掲載した「GIGAスクール構想の下での各教科等の指導」の事例についてお伝えしたいと思います。言うまでもなく学校の教育活動の中心は授業であり、先生方は日々の授業を通して子供たちに向き合い、一人一人の子どもの学びや育ちを支えておられます。
そうした先生方の授業づくりを支える効果的なツールとしてICTの活用を考える。そのお手伝いができればと考え、各教科等の指導事例を作成・掲載しました。
事例の作成に際して最も重視したのは①それぞれの教科等で育成を目指す資質・能力を子供たちが身に付けることに資する事例とすること②そのための主体的・対話的で深い学びの視点からの授業づくりを強力にサポートするICTの効果的な活用の視点を全国の先生方と共有できるようにすること。この2点です。この点を踏まえ、総論と事例に分けて示しています。
総論としては、各教科等の特質に応じてICTを活用する際のポイントを整理して示しています。事例では、①育成を目指す資質・能力、ICT活用のポイント、事例の概要をまとめた資料②実際の活用場面やICT活用のメリット③実際に事例で活用している機能などを児童生徒の写真――を交えながら解説した資料で構成しています。
実際の活用に際しては、総論と事例とを合わせて見ていただく形でも、まずは事例からという形でも、校内研修の時間など、それぞれの状況に併せて活用いただけるようにしています。また現在、文部科学省では、新学習指導要領の下、全国津々浦々の先生方が創意工夫を凝らしてICT活用に取り組まれた好事例を収集しており、鋭意、掲載の準備を進めており順次掲載予定です。百聞は一見に如かず。私がここでいくら言葉を並べ立てても優れた授業実践に勝るものはありません。事例を御覧いただけましたら幸いです。
学びの「根っこづくり」に
ここでご紹介した事例は、各教科等の指導の充実の観点から作成していますが、実際の授業では、学習者である子供たち自身がICT端末を、いわば文房具のように適切に使いこなせるようにすることも重要となります。
その意味では、まずはICT端末に触ってみる、使ってみるという「普段使い」と、教科等での学習で使ってみるという「教科等での学び」の車の両輪を、子どもたち自身が回していけるようにして行くこともまた大切なことだと考えています。
私たち大人の仕事の多くもICT端末の存在抜きには立ち行きません。日常生活でも家族と友人とのやりとりや買い物等、ICT端末抜きに暮らしていくことは難しい。同世代の読者の方々に共感いただけるとありがたいのですが、私自身が役所勤めをはじめた20年ほど前と比べて、情報化の進展には隔世の感があり、今後も更なる進展が予想されます。
そう考えると、学校に在籍している間に、ICT端末の「普段使い」と「教科等での学び」との両輪を回しながら適切に使いこなせるようにしていく経験を子供たちが積むことは、大人になってからICTを使いこなし、主体的・対話的に深く学びながら、家庭生活や社会生活を豊かにしていく、そのための「根っこづくり」にもつながるのかもしれません。
普段使いと教科等での学びとの両輪を大切にする。そうした観点で、StuDX Styleの「慣れる つながる 活用」と「各教科等での活用」の事例を参考にしていただけたら担当として望外の喜びです。
石田 有記(いしだ ゆうき)
GIGA StuDX推進チームサブリーダー
文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長
1999年文部省(現・文部科学省)入省。係長(教職員課、教育課程課、財務課、特別支援教育課)、行政官国内研究員(千葉大学大学院教育学研究科(修士))
千葉県市川市教育委員会教育次長、教育課程企画室専門官、教育課程課学校教育官、同カリキュラム・マネジメント調査官を経て現職。