令和3年通常国会質疑から【第3回】
NEWS開会中の通常国会では、小学校の学級規模を最大35人とする法律が成立した。同時に、現在の教育界が抱える課題について政府・文科省がどのように考えているか明らかにする質疑も交わしている。3月10日の衆議院文部科学委員会では、畑野君枝議員(共産)が養護教諭制度について質問。私立学校への配置率が低い理由を尋ねると共に、配置不要とする例外を撤廃するよう要望。文科省は、撤廃の考えはないと答弁した。
「私立学校への配置、56%どまりなのははぜか」
畑野議員 正規の本務養護教諭の配置は、国立が九九・三%、公立が九四・六%の配置状況なんですが、私立学校は五五・九%にとどまっています。その理由は何ですか。
「同じ法人の学校で兼務」
文科省初等中等教育局長 学校における教職員の配置については、各学校の状況に応じてその設置者が判断するものであり、個別の状況について詳細は把握しておりませんが、専任ではなくて兼務の養護教諭を合わせれば、学校数と同程度の養護教諭が配置されているところでございます。
こうした状況からしますと、私立学校については、例えば、同一の学校法人が小学校と中学校を併置する場合に、これらの学校間で養護教諭が兼務しているなどの状況があるものと考えているところでございます。
「当分の間、置かないことができるという規定の削除を」
畑野議員 それで、先ほどの話でも、養護教諭に体の悩みを相談したくても、女子生徒が行くと保健室に男子生徒がいて相談しにくいという話があるんですね。だから、複数配置をもっと促進していただく。
そして、学校教育法附則第七条で、当分の間、置かないことができるということを、私は、この部分を規定を削除して、全ての学校、学校種に養護教諭を配置できるように、必置するようにする必要があると思いますが、いかがですか。
「考えていない」
文科省初等中等教育局長 私が数年前、県に出向していたときも、全県の小学校養護教諭の会長さん、中学校養護教諭の会長さん、高校養護教諭の会長さん、三人そろってよくお見えになられて、本当に子供たちのことを把握しているなということについて、大きな役割を果たしていることについては、一歩現場に近いところで勉強させていただいたところでございます。
御指摘の学校教育法附則第七条の規定につきましては、制定当時の財政の状況及び養護教諭の人材確保の困難性に鑑みて、全国一律に養護教諭を必置とすることは現実的に困難であるとの考えに基づいて設けられたものでございます。現在におきましても、引き続き、国、地方の財政の状況、あるいは僻地等におきます養護教諭の人材確保の困難性等の現状もございまして、現時点において同条の規定を削除するということは考えておりません。
しかしながら、先ほど、冒頭申し上げましたとおり、学校保健の中核となる養護教諭の果たす役割は一層重要となっていると考えておりまして、引き続き、養護教諭がその専門性を生かし、児童生徒の健康問題にしっかりと対応できるよう、学校保健の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
(衆議院文部科学委員会3月10日)