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コロナ時代に考えたい学校問題【第190回】

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自己判断力を磨く

 新年度がスタートした。昨年の頃とかなりの違いがあるように思える。「コロナ禍」という言葉さえなかったあの時から一年が過ぎて、多くの不安と闘いながら私達は生きている。
 日常が変わり、マスクで顔を覆うため、目で話すことが多くなり、顔から受ける情報が限られたために、目を覗き込むようになったように思える。また、声が聞きにくくなり聞き返すことも増えたのではないだろうか。
 収束に向けて期待が高まるワクチンの接種が始まった。誰を優先するかが話題になっているが、限られたワクチンをどのように分けるのか。また、接種を拒む人もいる。
 マスクの着用を拒否し、警官に暴力をふるい、逮捕された者がいた。優秀と言われた人物なのかもしれないが、社会のルールは学んでいなかったようである。高学歴で、大学に勤務したことがあったらしい。酷いものだ。
 だからといって、指示や要請の全てを鵜呑みにするのは確かに危険であるから、自己判断できることが求められる。自己判断力はどのように磨けばよいのだろうか。ここは現行の教育課程では位置付けられてはいない。
 近いのは生徒指導の要素にある自己決定の力であるが、しかし、自己判断力には情報収集能力が含まれる。今はテレビも新聞も信頼できないと指摘する民衆が増えている。それによりSNSなどでフェイクが拡散され、更に危険な行動となり、暴走する事も想定できる時代になってきているのではないだろうか。
 ネットリテラシーも義務段階でしっかりと教えられてはいない。何故なら教員養成課程でも触れる程度だからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題