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コロナ時代に考えたい学校問題【第187回】

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教員免許更新制への疑問

 《教員免許、うっかり失効相次ぐ 50代教諭が新卒扱いに》(朝日新聞デジタル)という記事が掲載された。振り返れば、とんでもない制度である。教員免許更新制のことである。運転免許と同程度に扱われていることがわかる。さらにそれ以下とも言える。
 この制度が導入されたのは、スキルを高めるまたは確かめる点にあったと記憶している。それは表向きの理由であって、見方を変えると、大学教員への報酬を確保する策でもある。更新講習を受講する教員には、自腹の経費が掛かる。受講して勤務校に帰ってきた教師の話を聴いても、授業を見ても、さほどの変化はなかった。期待すれども成果の確認ができない制度という点で、教職大学院と似ている。
 研修は本人のためと言われる。しかし、国として必要ならば費用は雇用主が負担すべきなのではないだろうか。
 申請しないと失効するという制度を設けている。医師はどうなのだろうか。定年もない。注射をした際、腕の向こうへ針先が出ていても平気な校医がいた。医療ミスは即命を奪う。医師に免許更新はない理由を示して欲しい。
 文句を言えない教師にしてよいのだろうか。組合があっても、大義のためには動けず、批判のための批判にとどまったり、入らないとつまはじきにされて管理職への道が閉ざされる地域もあるという。いずれにしても「何のため」が曖昧な制度が多すぎるのではないだろうか。これが温存する限り、時代に即応した教員を育成することは難しいと言えまいか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題