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コロナ時代に考えたい学校問題【第184回】

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心技体の教師道

 柔道の古賀さんが53歳の若さで亡くなった。これにはショックを受けた。平成の三四郎と呼ばれ、見事な技は鮮やかだった。私は同郷で、柔道を習っていたこともあり大ファンであった。
 彼の一本技は、かからないようにしている相手がことごとに投げられてしまうのだから半端ではない。彼にあこがれて柔道を始めた者はかなり居た事だろう。
 私は「柔道一直線」や「姿三四郎」に憧れていた。習い事の長続きをしない私に対し、父は、「本気ならば正座が板の間で1時間出来る」と言われてやり遂げた事が、人生の中で大きな出来事として心に残っている。
 道場へ通いながら、いつも夢を抱いていた。ああなりたい。苦労があろうが乗り越えて見せると決意して長年通った少年の頃が蘇ってくる。
 「ああなりたい」という心のヒーローを今の子ども達は持っているだろうか。ただ必死に打ち込む繕わない真っ直ぐな姿勢こそ、心技体一体の美しさであり、その夢を現代で与えてくれた古賀さんに心から敬意を表すると共に、まぶたに焼き付いている姿は私の宝ものである。教師にも心技体の教師道があると私は思っている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題