令和2年臨時国会質疑から【第8回】
NEWS昨年12月5日に閉会した臨時国会では、法案審議以外にも、今後、日本の教育制度をどのように改めようとしているのか議員と政府の考えが数多く示されている。主題ごとにその概要を紹介する。11月17日の参院文教科学委員会では、伊藤孝恵議員(国民民主党)が初潮に関する教育が小学校4年生では遅いなどと訴え、政府の考えをただした。
「初潮教育に違和感、産婦人科医などと連携を」
伊藤孝恵議員(国民民主党) PoliPoliという政治プラットフォームに寄せられた政策リクエストにお応えするという形で、生理にまつわる政策に取り組んでおります。当初依頼されたときは、一瞬タブーを感じてしまってひるみましたけれども、いや、だからこそ取り組むべき課題だなと、子宮を持つ者のQOLに直結する課題だというふうに思ってやっております。
コメント欄には多くの学生さんたちから意見が寄せられておりまして、例えば、生理痛やPMSなど月経随伴症状にピルは必須なのに高過ぎるとか、生理用品が軽減税率対象じゃないのはなぜとか、何で会社員には生理休暇があるのに私たちにはないのなど、確かに労働基準法第六十八条によるところの生理日の就業が著しく困難な女性と同じように生理日の修学が著しく困難な学生もいるのに、政策的対応というのは聞いたことがありません。また、小学校高学年になると唐突に行われる初潮教育への違和感も多数寄せられておりました。
今、菅政権では、不妊治療の保険適用、遅くとも二〇二二年四月からの適用を目途に、年内までに工程表を作成していると承知しております。昨日、私も、生殖補助医療で生まれた子供の親子関係を明確にするための民法特例法案を議員立法で参議院に共同提出させていただきましたが、これほどまでにこの永田町かいわいで、日々、精子とか卵子とか、そういったもののワードが飛び交うというのはいまだかつてなかったんじゃないかなというふうに思います。
私、もちろん不妊治療支援というのはあくまで個人の生き方、選択肢を広げる、可能性をつくるというような支援であって、国による少子化対策として推進されるということには違和感を覚えますし、子供を産み育てることが当然かのような間違った印象を持たれることはあってはならないというふうに思いますけれども、一方で、自分が不妊治療に腐心した当事者としては、もっと自分の体について若い頃に自分自身も学んでおけばよかったなと、子供を産み育てることについて自ら選んで進むための知識というのは持っていなかったなというふうに自戒を込めて思うというのもまた真実であります。
子供を産む、その全ての始まりは排卵の確立、つまり初潮でありますから、多くのリプロダクティブヘルス・ライツの鍵が生理教育にあると思います。
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会によれば、日本女性の初潮は八歳から十五歳、平均は十二歳だそうです。閉経は四十五歳から五十五歳、平均は五十・五歳だそうです。
東京都の初潮教育というのは四年生だそうですけれども、八歳の子にしてみたら遅いですね。事実、うちの長女、今七歳ですけれども、既に二次性徴というのが現れていまして、一年もすれば初潮を迎える可能性というのがあるそうです。彼女には、なぜ胸が膨らむのか、なぜ生理があるのか、それが命にどういうふうにつながっていくのか、私はもう語らねばならないという段階に来ています。
ちなみに、青森県には産婦人科校医配置制度というのがあるそうです。これ、NHKの報道で、私も見てなるほどなというふうに思ったんで、一部紹介させていただきます。青森県では、産婦人科は何かあったら受診するところではなく、特になくても相談しに行くところだと強く伝えます。
その上で、月経痛改善のための低用量ピルの処方で済む場合は内診台に乗る必要はないし、下着を脱ぐ必要もないなどといった具体的なことを詳しく話すことで、そして一緒に授業を受けている男子生徒や同席している学校の教員にも理解を深めてもらい、偏見の解消にもつなげているということだそうです。これ、非常に参考になる話だと思います。
海外に目を向けてみれば、例えばスウェーデンには若者の専用の産婦人科クリニックというのがあるそうです。ドイツでは、十代から産婦人科の定期検診があるということです。
日本でも、今後、保健室と地域の産婦人科クリニックの連携、産婦人科医や助産師、思春期保健相談士などの外部人材の活用、これ考えていかなきゃいけないというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょう。
「生理に関する指導、1年早めた」
文科省初等中等教育局長 外部講師の活用については、厚生労働省とも連携を取りながら必要な取組を進め、引き続き学校における性に関する指導の充実が図られるように努めてまいりたいと考えております。
また、この性教育のうちの委員御指摘の生理に関する指導については、通常四年生で実施が行われております。指導要領上、三年から四年の内容として示しておりますが、一応四年生で取り扱うということでなっておりますけれども、これは、実は子供たちの発達状況も踏まえて、平成十年の指導要領改訂の際に中教審での様々な議論があって、小学校五年生で指導していたこの内容について四年生に移動するというか位置付けるということで中教審の答申をいただき、そのように学習指導要領も改まったと。それ以来、四年生で指導するように、一年早まった状況になっているというのが現状でございます。
また、委員から御紹介のあったデータ、八歳から十五歳とおっしゃられましたでしょうか、についても、学会とかあるいは研究によってかなり幅があるようでございますので、そうした子供たちの発達の状況なんかも踏まえつつ、今後また、現行の指導要領上はまだ四年生のままになっておりますので、仮にですけれども、子供たちの成長が更に早まるというようなことがあれば議論はされるべきものかなと思いますが、現状では四年生で、しかも、先ほど申し上げたように、適切に外部講師なども活用しながら、厚労省さんとも連携をして、あるいは養護教諭の方を活用しているという事例も承知しておりますが、先生自身が教える場合と、そうした養護教諭や外部の方が教える場合と、その場面に応じて、あるいは全体に教える方が本当にいい場面かどうかというときと、個別に早めに、早めに取り出して教える方がいい場合とか、そういったことも含めて学校現場で検討、慎重に判断をしながら対応しているのが今の実態だと思っております。
(参院文教科学委員会令和2年11月17日)