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令和2年臨時国会質疑から【第5回】

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 12月5日に閉会した臨時国会では、法案審議以外にも、今後、日本の教育制度をどのように改めようとしているのか議員と政府の考えが数多く示されている。主題ごとにその概要を紹介する。11月17日の参院文教科学委員会では、横沢高徳議員(立憲民主党)はGIGAスクール構想で必要となる通信費の扱いについて質問し、文科省側は、国が一定程度は負担するなどと答弁した。

「GIGAスクールの通信費は」
 横沢高徳議員(立憲民主党) GIGAスクール構想、今地元自治体が一生懸命力を入れて進めております。そんな中で、一番、私の地元、岩手県三十三市町村回ったんですが、自治体の方からは、通信環境、通信費、ランニングコストの不安に関する要望がたくさん上がってきております。
 十一月十日の記者会見で、大臣は、学校における通信費について、一定程度国としても自治体に寄り添った対応をしていくということの必要について触れられておりますが、今後、地域間格差などを解消するために財政的に厳しい自治体への支援はどのようにしていくか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

「通信費含めたコストは国も一定程度負担」
 萩生田光一文科相 学校におけるICTを活用した教育の充実を通じて、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現することは重要であり、これまでICT環境整備においては、自治体間で生じていた格差を早急に是正することが喫緊の課題だと思っております。
 私が記者会見で申し上げたのは、少なくとも学校現場で格差は絶対生まない、全ての学校で同じ環境できちんとその端末が稼働する、そういう環境を、当初は端末を配るということが一義的な作業だったんですけれど、それだけでは当然心配ですから、校内LANの見直しをしてくださいと。
 ここへ来て、校内LANだけじゃなくて、今まで六年生から一年生まで一遍にパソコンを開くようなことは学校でやったことないわけですから、もしかすると、その学校までの例えば光ファイバーなどのラスト一マイルがきちんとつながっているかどうか、容量があるのかどうか、それを含めて今所管の方から各自治体との様々なヒアリングをして、ここまでは責任を持ってきちんとやっていきたいと思います。
 その後に、じゃ、これ持ち帰りを認める自治体も出てくるでしょう。あるいは、学年によって許可するということもあるでしょう。家庭でも使える、ツールとして使える方がいいと思います。そうなったときに、家庭の経済環境で、これWiFiがないなんていう家庭にはルーターの貸出しを考えているんですけれど、しかし、その全ての、あまねく全ての御家庭でこのICTが使える環境をつくるというのは、これは文科省の政策ではないんだと思います。
 したがって、私は、デジタル庁を設置をするという国の覚悟があるんだとすれば、WiFiフリーの世の中をつくっていく必要があると思っていまして、しかし、それを待っていると、うちに持って帰って使える子と使えない子が出てきちゃうので、今申し上げたルーターなどではしばらくの間しっかりサポートをしていきたいなと思っています。
 あわせて、学校で、その自治体の財政力によって一日の使う時間とかが限られるようなことがあってはいけないと思っておりまして、そういう意味では、義務教育のコストに私は将来的には含めるべきだと思っていまして、決して、整備をするまでは国のGIGAスクール構想でやったけれども、その後の運営費については各自治体の負担ですよと、そういう冷たいことを言うつもりはなくて、ここはやっぱり一緒に考えていかなきゃならない。通信費も含めたコストは国も一定程度負担をしなきゃいけないという考えの下で、これから知事会や市長会と調整したいと思っています。
 (参院文教科学委員会令和2年11月17日)

令和2年 臨時国会質疑から