日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

コロナ時代に考えたい学校問題【第124回】

NEWS

教員の差別発言と信念ない対応

 家族がPCR検査を受けた生徒に「お前が来たからマスクするわ」と発言したことにより、三重県教委が40代教諭を文書訓告としたという。これが事実ならば、文書訓告は履歴に残らない相互に体の良い注意であるから、ほとんど意味がない。懲戒処分が妥当だろう。
 教委が一度は差別を否定しながら、後に認めていることも合点がいかない。教育長が差別ありと話したあとに、すんなり撤回している言動には信念のなさがまじまじと伝わってくる。教育者でなく自分の損得を計算に入れたのではと勘ぐられてしまう。
 とどめは知事の発言だ。この内容の中には、明らかに差別的な発言であったことを示している。まさに三者三様であるから、今後、ますます信頼は保てないだろう。いずれにしてもバラバラで保身と面子と損得に加えて忖度が露になった対応ではないだろうか。
 コロナ禍のこの時期、あまりに不用意な発言に慢心が見えてくる。訓告では生温い。教委も教育長も、「お前が来たからマスクつけるわ」と、議員などから言われたら、どんな気持ちになるのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題