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コロナ時代に考えたい学校問題【第119回】

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校長の覚せい剤所持

 「覚醒剤所持で逮捕の小学校長、保護者らの信頼厚く/町長「まさかという思い」」などと、驚くような報道がされた。そこまで麻薬が広がっているのかという実感を抱いた。もうひとつ指摘したいのは、一番の大規模校へ新任校長として勤める期待の人物だったのだろうか、ということである。
 私が注目するのは、教育委員会の課長の経験者であっても教頭職しか経験していないとすると、校長会などで先輩校長への指導や助言がしにくい事になる。
 私は、教諭になってから数年後に40歳で教育委員会の任用室長となったために、「立場上お話しさせて頂きます」と、前置きをする事が多くあった。
 大勢の先輩校長の前で講話をする事も度々あった。この若造と言わんばかりに、腕を組みのけ反っている方もいた。その際に「人の話を聞くときは、腕を組んではいけないと。先輩が話していました」と、前置きをした。すると、「今度来た奴は生意気だ」と、すぐさま苦情の電話が入って来るのである。実に分かりやすく、面白かった。
 この新任校長も、行政の課長職として、「立場上」と言って事を進められたら良かったのだろうが、新任で大規模校へ着任し評判も良いとなると、かなり上を見て無理をして来たのだろうと私には思える。だからと言って麻薬は論外だが、こうした人事は、全国でも行われ続けていることだろう。
 私は、「お言葉ですが」と、繰り返したので何度も左遷をして頂いた。それは人生からすると実に有り難い事である。何故ならその見せしめのような人事により、権力に付いていた人は水が引くように自ずと離れるからである。よって人としての友しか残らない。
 最後は、どっちが幸せかを考えさせられる事件ではないだろうか。これを見破れなかった体たらくの方が問題と私には感じられる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題