日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

コロナ時代に考えたい学校問題【第101回】

NEWS

欲望に染まらぬ訓練と演習

 蓮華は、泥の沼に咲く。その泥を人の「欲望」に喩え、花をその中でも染まらずに咲く慈悲の心としたのである。これはとても分かりやすい仏教の比喩である。欲に染まらずに、ではなく栄養として見事に咲くためにはなくてはならないものとした解釈が素晴らしい。
 欲望の制御の仕方を私達は学校でいつ教えてもらっているだろうか。演習として訓練を受けないと、おいそれと制御出来るものではないのが欲望である。
 座間の連続殺人も、教師の不祥事も、はたまた米国の大統領選挙も、欲望の成せるわざと見ることが出来るだろう。
 その欲望に振り回される事はよくないと結論付ける事が倫理や道徳なのだろうか。その結論は分かっていても出来ないのが人間の性であり、業のように私には思える。この手強い習性を「こうあるべき」論では、制御出来ない現実が事件になっているからだ。
 教育訓練、教育演習として一定期間強制的に課すべきと思っている。そこまでしない限り、建前論では欲望の暴走を止めることは不可能と思えてならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題