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コロナ時代に考えたい学校問題【第88回】

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便利さが生むわいせつ事件

 教師によるわいせつ事件が毎日のように報道されている。教師以外はもっと起こしているかもしれない。セックスなどの表現が容易に閲覧でき、欲望をネットで繋ぎお金で済ませる簡易さが拍車をかけている。こうしたやり取りを手軽に出来るようにしてしまったのだから、すべては想定内と言える現象である。
 便利さを利益にして、脚光を浴びる時代のリーダーが、その反面に若者や純朴な者達を巻き込んだ責任を取らねばならないと意識しているとは思えない。
 人が求めるもの、没頭するものを利益の為に考え、それを提供して莫大な利益にする。その便利さがなければ、犯罪も、傷害も、トラブルも、引きこもりも、起きなかったと思われることが多い。
 SDGsとして掲げられた目標から、かけ離れた事をやっている企業は、そこかしこに存在している。可能ならばその企業を名指しして、不買運動も展開したいところだ。
 携帯を手放せない人々の増加はとどまる事はない。その情報が無断で盗まれ次への利益に繋げる恐れが高まっている。

 では、それらの進歩や技術革新により人は豊かになったのだろうか。
 教え子が卒業後、田舎の農家にボランティアで住み込んで働く事を選んだ。時折、送られてくる田園風景には、電線も店もなく、けっして便利ではないものの、画面から溢れ出る人々の笑顔や営み、そして自然の豊かさに引き込まれる。ふと、今、教えていることでよいのだろうか、と、私は立ち止まってしまう。
 彼のLINEには、「明日は稲刈りだ。準備万端、しばらく空を眺めて寝転んでみる。あー気持ちいい」とあった。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題