日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

コロナ時代に考えたい学校問題【第83回】

NEWS

兵庫・柔道体罰事件は猛省を

 兵庫でアイスを食べた事に腹を立て生徒を骨折させるなどの体罰事件があったと報道された。この事件では、多くの問題点が浮き彫りになっている。
 教委も校長もその機能が停止していた事がはっきりと分かる反応である。よって、今後の生徒指導関連の「あってはならない」教材として活用出来る気がする。
 先ずは、その教師が同じ体罰をしないように研修を受けたのなら、その研修の効果がなかったと言うことになる。その担当者は誰なのか。研修内容の見直しを求めたい。
 さらに、「正義感の出し方を間違えた」という教委のコメントは論外である。加害者をかばいたいのか、自分たちをかばいたいのか、はたまた、知り合いなのか。教委の言葉とは思えない。レベルの低さに驚いた。自分達が偉いと勘違いしてはいないか。
 また、校長の分掌任命責任と現状認識の甘さから、生徒指導を担当させていたことが安直の証拠である。明らかな管理能力不足と資質の貧弱さが露呈している。この校長を選考し任命した、または研修をさせてきた、教委の責任を厳しく問わねばならない。
 副顧問も怯えて止められなかったとのコメントも呆れてものが言えない。柔道を愛好する一人として、猛者であろうが「柔よく剛を制す」と教えるならば、身を呈して制止するのが本来の教師ではないのか。
 こうした部活優位の黙認体質は、長年体罰等の温床になってきているだろうから、今後も膿が吹き出て来ることが想定される。真面目に頑張る教師までもそう見られてしまうのが不憫でならない。

 私が仮に首長ならば、教育長及び関係者全員の処分と共に、改善が見込める人物を第三者から投入して、徹底的な浄化を図り、透明性と本来の教育のあり方を徹底訓練をするだろう。先ずは挨拶や礼節、そして何よりも、相手を敬う「敬育」の基盤づくりへと転換するだろう。
 その道のりには数年を要するだろうか。今しなければ、出来ないままになり、次の犠牲者、加害者、傍観者、そして無関心者を作ることになると厳しく指摘しておきたい。
 闇が深ければ、深いほど、暁は近いのだから、当該校そして教委の再生を心より期待している。多くの生徒たちの未来の為に!
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題