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コロナ時代に考えたい学校問題【第81回】

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厳重注意を受けた訳

 「校長が女子児童に暴言を浴びせ、その児童は休んでいるそうです」と、ニュースのアナウンサーが淡々と語った。この言い回しなら、「校長が悪い」とされ、「女子児童は可哀そう」となるだろう。しかし、それぞれの内容を聴取しないで、校長が市教委から厳重注意を受けたという。その厳重注意の文言は何だったのだろう。

 私も2度ほど厳重注意を受けたことがある。
 ひとつは、「あなたが校長になったので教頭が苦労をしている、これ以上迷惑を掛けないように」と、市教委の幹部が来て教頭に頭を下げろと命令されたのである。
 もうひとつは、人事漏洩や業者癒着を指摘した事が混乱を招いたとされて、教育長から厳重注意をされた。その前段で、そうしないと収まらないのでと市長からも耳打ちをされたのである。
 当たり前の事を指摘して、なぜ厳重注意をされるのか、いまだに合点はいかない。しかし、面白い茶番劇でもある。
 当時の教頭は私の粗を探してリークの褒美で校長にもなり、不祥事が発覚しても教委は内々の注意で済ませる始末であった。これに議員が絡んで票田の仲間を守るのだから、手に負えない。
 私はこうした事実を現在担当している新任校長研修会等で、面白おかしく紹介している。すべて体験したことだから、話は具体的だし、生々しい。それは腹いせではなく、仲間意識、教委、校長会等の組織にどうしても巣くう「組織悪」への予防ワクチン注射のようなものである。
 今思えば、よく我慢したものだと思う。不思議に、その時の面々は何処へ隠れたか話題にもならない。
 事実は、直接その場へ行かないと分からないものである。三流メディアや親分行政は、勝手にストーリーを仕立てて、報道し内々に処理する傾向がある。私は教委が厳重注意をしようが、決めつけないし、鵜呑みにはしない。だから、媚を売らない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題