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コロナ時代に考えたい学校問題【第72回】

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「社会教育士」への期待

 ある校長にコロナ禍で今、どのようなことに困っているか尋ねてみた。
 「子どもたちの行事がすべてなくなって」と話し出した。行事は特別活動の分野である。それが出来ない事が一番辛いだろうと指摘したのである。
 テレビで、インターハイが出来なくなって目標を失い、意欲を失いながらも周りに支えられ周りを支えるドキュメンタリー番組が長い時間放映されていた。何を伝えたかったのか。大会や発表会の中止が及ぼす影響は分かるが、日本の学校独特の光景だろうと私には思えた。
 部活や特別活動が学校に存在する国は少ない。しかし、その有益性も認められる。エジプトでは横行する遅刻や無断欠席を日本の「トッカツ」(特別活動)で改革している。働き方改革の一環として部活指導も仕事の延長ではなく、兼務発令で行うことが検討されている。それほどまでに重要視させる部活指導について、きちんと学べる大学での授業はほとんど存在していない。

 私は本物に触れる事を重要視しているので、鹿の解体、野草を食べるといった経験を奨励している。ここまで教師に求められないのなら、新設された「社会教育士」に委ねるといい。地域や自然と繋ぎ、様々な価値を生み出してくれることは間違いない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題