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コロナ時代に考えたい学校問題【第61回】

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次々と手を挙げる子どもたち

 物事の本質は、いたって簡単な所にあると思われる。ある時、つくば宇宙センターの所長だった菊山紀彦氏をお呼びして、県の教頭研究大会が開かれた。お話に感動して名刺交換をさせて頂いた。その名刺はカレンダーの裏を使われていた。

 後に当時の勤務校にお呼びして、3年生と4年生に50分間のお話をして頂いた。その後の質問会が想定を越えた盛況となった。次々に手が挙がり、止まらないのである。予定時刻を過ぎても止まらない。
 「先生、何で地球は円いのに海の水は下に落ちないんですか?宇宙からの紫外線を大気圏が防いでくれていると聞いたのですが、どのくらいの厚さですか?」。このような質問が出ると、所長は急遽、水を入れたバケツとバスケットボールを持ってくるように指示をされた。
 ボールをバケツの水に入れて出して、濡れたボールを指して、この薄い水の膜が大気圏なんだよ、と説明をされた。どよめきが起きた。延々100分のバトルであったが、本物の授業を受けられた子どもは幸せであり、受けさせられた事は忘れない。その夏に、3人の児童が家族で種子島の宇宙センターへ行ったという事を夏休み明けの9月に聞いて嬉しくなった。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題