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コロナ時代に考えたい学校問題【第27回】

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今年の教員採用選考

 教員採用選考試験の内容や方法が大幅に変更された。元担当としてその苦労を察しつつ敬意を表したい。さて、その変更への対応について記しておきたい。結論は、受験者としては、条件がよくなり、合格しやすいように思われる。

 では、選考側からすると、明らかな選考データが欲しい事になるが、それが出来ないとすると以下の2方法で臨む事になる。

(1)明らかに不適な者を削ぎ落とす
(2)不適であることが分かるような仕掛けをする

 (1)を行う場合、志願書等の内容と試験結果のみでは絞りにくいため、一次では多めの合格者を出して、二次で絞り込み、不合格者を講師として確保するだろう。
 (2)を行う場合は、信頼できる講師や元教師、さらにはインターシップ経験者からの採用枠を広くするだろう。海のものとも山のものとも分からない大学新卒、大学院卒、並びに社会人は、保証がないため不安感が残るからである。

 新卒は、いかにして現役合格を目指せばよいのだろうか。実は、簡単である。やるべきことをやる事に尽きる。慌てる事ではなく、昨日の自分より1ミリでも今日成長できたらよいのである。
 但し、不易と流行を押さえつつ、時事問題など喫緊の諸課題について、どのような対処が出来るかを見極めたい。それを論文で見るか、二次選考の面接でも可能だろうが、選考の労力はかなり増加する。

 ともかく、異例の一次選考は、明らかに不適な者を、手持ちの資料で確実に削ぎ落とせるかに掛かっている。それが何処まで出来るかで、当初予算内での二次選考も可能になるが、絞り込めないと二次選考の負担額は急増する。手を抜くと不適な教師を学力差や多様な問題が吹き上がる学校現場へと配置する事となり、子どもへの影響は避けられない。

 先ずは、そうした事態を想定して予算の増額をしておくべきと思える。この事態に理解を示さない首長は、公約で教育の大切さを訴えていたとしても、詭弁であり今後支援をすべきではない人物と見るべきである。とても教委の自力だけ、当初予算だけでは、乗り越えられないのが本年度の選考業務である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題