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コロナ時代に考えたい学校問題【第4回】

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分散登校の危険性

 分散登校により起きている子ども達のリスクを、あなたは幾つ挙げられるだろうか。その一つに登下校における重大な危険がある。分散登校により登下校時間帯がまちまちとなり、人との距離を離すのだから子ども達は普段よりも孤立していることになる。

 子どもは元来、興味関心が豊かで、蝶々が目の前を飛んだら追いかけ、足元が見えなくなる。子猫が逃げたら追いかける。昆虫が多く発生するこの時期は、興味をそそる生き物がいたるところにいる。
 いつもの一緒の友達は居ないなら、自由そのものとなる。冒険好きな子ども達が、新型コロナの為に外出を自粛して、人目の少ない地域を一人で登下校しているとなると、その危険度は想定を越えたレッドゾーンになっているのではないか。そのことに私たちや教委や保護者や地域は真摯に気付いているだろうか。そうとは思えない。

 久しぶりに友達や先生に会えた嬉しさや、今後の教育課程の組み直しなどに追われていると、子どもの生活全般を俯瞰して見る事が出来にくくなる。その隙間を狙って事故や犯罪が起きてくるのは当然の事である。

 さらに、気温も上がり、放置された草むらの丈は、日に日に目の届かない空間を増やし、犯罪には絶好の場を作り上げている。その危険性を感じられていないのなら、まさに「茹でカエル」となっている。「仕方なかった」「気が付かなかった」の自己保身の醜い言い訳を、事が起きてからしてはならない。並大抵の指導では子どもの心には入らない。生徒指導力の真価が問われる時である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題