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生徒指導~小学校段階での考え方~【第207回】

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子どもを「餌食」にした産業

 世界保健機関からゲーム障害が疾病とされたが、日本はその治療体制が整っておらず、明らかに手遅れと感じられる。また、「eスポーツ」が話題を集めるようになったが、企業の利益を優先する意図が当初から見えている。
 子どもを餌食にした産業が蔓延していても、ほとんど規制が掛からないのは何故か。麻薬のように抜けられなくなってしまうオンラインゲームを野放しにするのは何故か。素朴な疑問を持つのが当たり前である。

 「何故、ゲームを学校で禁止しないのか?」と、ある講演会で、阪神淡路大震災の際に医療リーダーを務めた医師から厳しく質問を受けた。学校で禁止しても経済界は止まらないであろう。「経済至上主義から人間教育主義に変わらない限り、この連鎖は止まらない」と私は回答した。逆に「医師会は何故動かないのか?」と、質問を返した。

 こうした依存は、麻薬と同じで自分ひとりでは抜けきれない。駅前では、パチンコやスロットの利用客が開店前から並んでいる姿を見かける。依存に共通するのは、一時の気休めや安らぎであり、それがカジノを容認するIRとなるとその影響は想像を越える。年齢制限等の規制があっても欲望に依存が重なって多くの不幸を産むだろう。これを教育で何処まで予防できるか自信がない。それでも、やろうとする皮算用に綻びが出始めた。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~