日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

生徒指導~小学校段階での考え方~【第205回】

NEWS

失敗から身に付けたものが宝

 すぐに答えを求める短絡的な親や教師がいる。手法を知ってそれを試み、出来たと勘違いする面々である。こうした手段ばかりを身に付けると、想定外の難題に面した際、身動きが出来なくなるものである。
 講演後にいただくアンケートにも、「ともかく答えが欲しい」と書く人がいる。自分では考えずに簡単に答えを教えてという心情は分かるが、答えを知っても対症療法にしか過ぎない。

 世の中には答えのない課題が増えている。SDGsのバッジを付けているだけでは、何も良くはならない。Q&A本を書店から一切なくしたらどうだろうか。人々はもっと考え工夫して、情報を共有するのではないだろうか。
 不自由の中に智恵は湧いてくるからである。その智恵をQ&A本で済ませる事は、本当の楽しみを放棄しているのではないだろうか。

 生徒指導にもQ&A本が沢山ある。参考にはしてもよいだろうが、自分で失敗して身に付けたものだけが宝となる。
 実践真っ最中に、書く時間は取りにくい。但し忘れないように努める事は大切である。
 私は市の公募で実施している教育実践論文に毎年応募した。校長になってからも継続した。それが今の仕事に役立ている。
 出来るだけQ&A本に頼らずに自ら工夫して、挑戦して、若いときほど自分なりの道を切り開いて歩んでもらいたい。目の前で子どもが喧嘩をしているのに、学級通信を書いているような教師にはなってはならない。実際にそうした教師がいたのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~