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生徒指導~小学校段階での考え方~【第203回】

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躍動する知

 物事の捉え方で学びは進化する。誰かが書いたQ&A本を読んで、分かったふりになっている者は多い。著名な人物に会ってじっくり話を聞くと、実が伴わず、がっかりすることが少なくない。実践や苦労がないからであろう。
 冬の寒さに鍛えられてこそ春の暖かさを知る。そして、友のいる冬へと再度自ら歩み寄っていく姿勢を持たなければならない。この姿勢を私は同情を越えた「行動を伴う同苦」と捉えている。

 これにはかなりの腹を決めないと出来ない。すなわち関わった者を見捨てないと言うことである。
 こうした姿勢を学びに転換させた場合、ある程度「枠」の中でディシプリンを教え、次にその「枠」の仕切り、そのものを「疑わせて」「考えさせて」「超えさせる」、この繰り返しで、躍動する知が生まれるとA氏は指摘している。キーワードは、「躍動」である。言い換えれば、同苦して、考え、行動すると言うことである。

 それは他人事にしない繋がりであり、真摯にして強靭な優しさがあってなされる行為であり、使命感とも思える。

 生徒指導はこうした基盤を作り、人間力の鍛練方法のひとつでもある。よって、この時はこうするという教科書は存在しないし、現存の教科書らしきものは実践をすればするほど過去の遺物に近いことに気づくはずである。
 生徒指導は「生きている」。よって自分の判断や思考も疑い、考え、行動する中で人間力と平行して進化する躍動の姿のなかに体現されるものでなければならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~