大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第82回】
NEWS「訓告」の処分を受けた訳は
厳重注意は口頭で、訓告は文書を読み上げて行われる事がある。ここまでは履歴には載らない。よって叙勲除外にもならないのである。「先生、申し訳ないけど、喧嘩両成敗だから訓告にするから、ごめんなさい」と、世間体を繕うために市長に打診をされた。
元を正せば、教育長の「議会が早まったので、卒業式を早めてくれ」という言葉に、私一人が異議を申し立てた事に始まる。その後、教頭が私の監視役になり、事細かく教委へと報告をしていた。
驚いたのは、私の留守中に職印を使い、教委の課長の指示で正門工事の依頼を教委に出し、その理由書を市の課長が勝手に作文して付けていた件である。その入札でも、教委の人事に口を出す近くの造園屋で、「顔役」が入札し、短期間で工事を済ませていた。校長の知らぬ間にこうした不法行為がされたのである。
さらに、前任校長で現市教委課長と教頭が前年、市の職員しか使えない保養施設の利用券を不正に入手して何度も使用した事が判明した。早速、教育長へ電話連絡をすると「聞きたくなかった」と、電話を切られた。
ある時、突然に臨時校長会が持たれ、「貴方のために市の教育が混乱している。教頭にも多大な迷惑を掛けている」と糾弾を受けた。相手にしなかったために、更に厳重注意を受け、皆の前で教頭に謝罪を求められ、訓告処分もされたのである。このあり得ない事実の後に、教頭は昇任して他市の新任校長になった。
今でも忘れないのは、教委の課長達がテープ録音して、次々に質問を浴びせ「貴方は何の宗教をしていますか」と、思想信条の自由までも侵害したのである。後日、教育長が交代して、その時のテープや記録を探したが全て処分されていた。これが10年ほど前に起きた事実である。
当時の教頭の公文書偽造や補助金不正虚偽利用があっても、市は訓告で済ませ、翌年校長に昇任させるのだから、検事総長がらみの一件と重なるような思いがある。
後に県教委の長から「先生、どうしたら不祥事はなくせると思いますか」と、質問を頂いた。「元を正せばよい。元が腐れば皆腐る」と、返信したことが今でも思い出される。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)