生徒指導~小学校段階での考え方~【第200回】
NEWS教員養成段階の課題
「研究者集団に現場実践者は、育てられない」。これは教師の養成と採用と研修の段階での明らかな矛盾を指摘した言葉であって、その無理なシステムを改善しない事が、学校現場で様々に噴き出して来ているように私には感じられる。
新規採用教員の退職、精神疾患による療養休暇、そして休職。いじめへの早期対処、問題行動への態度、児童や保護者とのコミュニケーション、職員間のコミュニケーション、課題の発見と早期対処など、その脆さが近年続出している。
この対処として、養成段階に期待をするが、その力を育成をする授業も講座も正式には存在せず、別枠で採用試験対策講座を設けている程度なので、先にあげた問題への対処は出来ていないまま、荒波の学校現場に投げ出される事になる。あたかも泳ぎ方の理論を座学のみして、練習もなく、外海に投げ出され、泳ぎきるか、溺れるか、沈むか、引き揚げられるかの様相に似ている。
こうした荒療治を特に小学校教諭は採用と共に正規担任としてさせられる訳だから、休職者も出やすい状況になる。中でも生徒指導は、実践なき頭でっかちではとても務まらない。
こうならないように再三大学に求めても、「それは研究者の私達には出来ません」が本音ではないだろうか。学校現場に立ったことのない者ばかりなのだから、実践は出来ないし、させたとしてもトンチンカンになって余計にずれてしまう事が分かっているからである。
このジレンマに対応できるのは、政治や行政でしかない。事の本質を理解して改善しようとしない面々が、噴出した出来事のみを騒ぎ立てて対処しているようにしか私には見えない。もっとやるべき事をやってほしい。大海の荒波を泳ぐには、それなりの訓練や経験がなければ、子どもまで巻き込んで溺れるのは当然である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)