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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第79回】

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「死」を身近に感じる今

 生きる辛さ、死ぬ辛さ、見送る辛さと、見送られる辛さがある。如何に科学が進化して生命体を構成する要素があっても、操作は出来ても、生命そのものを人工的に作り出せはしない。
 このところ新型コロナウイルス感染により「死」が身近に感じられるようになってきている。いくら頑張っても死は避けられない。
 いくら財を成しても、名声を得ても、死はその時を容赦はしない。豊かさと物に求めるのか、名声に求めるのか、どこに求めるのかで人の生き方も行動も判断も言葉遣いも大きく変わる。

 この根幹になる所を現在の教育は、うわべだけで、骨の髄まで教えてはいない。それは心に杭を打つように深く食い込ませないと、やがては欲望に操られてしまう。

 教師の不祥事はニュースになる。一般の会社員なら扱わない内容でも教師なら話題が取れる。警察も同様でターゲットにされて、そして面白おかしく書き立てられる。それが事実無根でも謝罪はない。

 たまたまの事業の成功があっても、連れ合いの事故や災害により、それまでの満足感は意味を失う事になる。新聞記事の見出しに「人のために」が私の一番の健康法という91歳の老婆の言葉と、満面の笑顔の写真が目を引いた。私は、私達はどんな心情と表情で、いつかは必ず来る「お迎え」を待っているのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」