大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第58回】
NEWS今だから出来るシリーズ(4)
「模擬授業バトル」はいかがだろうか。通常であれば、学級を自習にして校内授業研究は行われるが、今はその必要はない。ベテランも若手も心置きなく授業バトルが出来るのである。
この磨き合いは、したくとも出来なかった事である。道場で稽古をする様子が思い浮かべられる。授業も、見せて見られて恥をかいてこそ上達するものである。
初任の頃に、研究授業のやり手が誰もいなかった。無謀にも名乗り出て宮沢賢治の「やまなし」に挑戦した。途中で講師に授業をしてもらうことになった。この屈辱がその後のバネとなって、今がある。
よく授業で勝負と言うならば、バトルをするといい。児童ならばどちらの授業を受けたいか、とやってみるのである。その理由が大切なのだ。
勝負とは勝ち負けが目的ではない。どこが良くて、どこを改善すればもっとよくなるのかを鮮明にすることである。もちろんそれは技術であって人間味を刺激して相互に向上するチャンスとなる。皆、恥をかいて成長できたのである。
今年の初夏から、初任の時の講師の後を受けて道徳の教育実践を執筆することになったのも意味深い事である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)