大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第57回】
NEWS今だから出来るシリーズ(3)
今だからやってみる事は多くある。跳び箱や鉄棒そして縄跳びなど教師の示範は児童にとって何にも勝るインパクトがある。やってみせる事の重要さは教師ならば承知しているはずである。
私の友人の退職校長は、校内研修の講師に呼ばれていく度に子ども達の注目の的になる。鉄棒があると大車輪をしたり、後方宙返りをいとも容易くやって見せるからである。数学の大家なのに器械運動にも長けているのだ。あっという間に子どもが群がって来る。
年を取ると指示だけにとどまり、やって見せないで済ませる傾向がある。
私は担任人事を決めるときに条件を付けた事がある。低学年担任は、字が丁寧、言葉使いもよく、服装のセンスもよいこと。中学年担任は、汗して一緒に走れること。高学年担任は、真剣に悩みを考えてやれる度量を求めた。
そういった資質がないならば、やってみせ、いって聞かせて、させてみて、誉めてやったら、ほぼ出来るようになってくる。また、障害のある先生ならではの力の発揮場所も沢山考えられる。
要は、教師こそが子どもにとっての最大の教育環境なのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)