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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第54回】

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今だからできることがある

 一度、してみたかった事がある。今なら出来る。それは、個々の実態にあった学びを示すことである。カルテとして要録や通知表の副本から、この時期に何をどのようにやると良いのかを、ひとりひとりを思い浮かべて出来る課題を作ることである。

 個々の学習理解度や課題やつまずきを拾い上げて、個々の学習支援を組み立てる。日常は、この丁寧な取り組みをしたくとも出来ない多忙があるが、本来ならば個々の学習プランが求められている。特別支援学級でも個々のカリキュラムにより学習が行われるが、現実は人員不足で漏れが多くなってしまう。

 学習のつまずきを放置したり、見て見ぬふりをしてきた現実が、勉強嫌いを作り、自己肯定感を根底から蝕んでいくことを私達教師は知っている。一斉授業を当たり前とせずに、どの子どもも必ず優秀にして見せるという気概を持たねば教師とは言えない。

 教えればいいのでなく、何のために教えるのか、何を教えることが必要なのか、それをどのようにして教えたら目の色が変わり、前のめりになって自ら学び始めるかと個々の様子を思い浮かべながらハードル調整をしてひとりも漏らさず全員を見事にクリアさせてみたい。今だからこそ出来るチャンスである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」