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生徒指導~小学校段階での考え方~【第188回】

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「わかったかな」と問う愚

 「わかった?」と聴かれると、ほとんどの子どもは「わかった」と答える。わからなくても人間関係やその後の展開を考えて、「わかった」と答える事を覚える。
 子ども電話相談室でのやり取りでも感じられる。専門家と言われる面々が言葉を選び苦慮する様子が実に面白い。日常使用している言葉では伝わらない為に、どうしても身近なものやことに例える事になる。
 アナウンサーが時間を見計らって「分かった」「いいかな」と促す。分からなくても、よくなくとも、「はい、有り難う御座いました」とお礼を言って電話を切る。しかし、声の調子で分かってないことが伝わってくる。

 正直に「わからない」「よくない」と返されたら、どうするのだろうが。子どもに「わかった」と、聞く愚問は、分からなくとも、「分かった」にして終わらせたい大人の都合である。

 子どもが真剣に、「僕はパンツをはきません。はかないといけないんですか」と質問した。難題である。だが子どもは真剣に聞いている。回答者は笑いをこらえている。なぜ可笑しいのかも子ともには分からない。
 分からない事をとことん探究する事を学習指導要領は求めている。その為には「分かったかな」と聞く愚問をせぬことであり、学びの忖度を教えてはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~